∵ 触れ合える距離

学祭も終わりに近い。
度が過ぎた行動をしている生徒がいないか校内をパトロールしている。

「後夜祭は花火も打ち上げるそうですよ」
一歩後ろを歩くキリが窓の外を見ながら言う。
学祭については生徒会の管轄ではないためあまり把握していないこともあった。
「そうか」
「見たいですか?」
「そうだな」



「ここなら一番よく花火が見えそうですね」
パトロールが済み、一度生徒会室に戻る。窓の外にキャンプファイヤーの準備をする生徒達のはしゃぐ姿が見える。
「どうしたんです?会長」
窓際に座るキリの顔が暗くてよく見えない。電気をつけた方がいいのだろうか
「別に、どうもしていないぞ!」
「そうですか?ならいいんですが…やっぱり場所変えましょうか?キャンプファイヤー近くで見る方が楽しいかもしれませんし」

元会長に言われた言葉を思い出す。
『まだアイツに我慢させてんのか?』

「が、我慢するのか?」
「花火ですか?別にオレは」
「それだけじゃなくて、キリはボクに対して他にも我慢してるんじゃないか…?」
キリが立ち上がり目の前にきた
「…どうしてそう思うんです?」
「べ、別に、なんとなくそうなんじゃないかと思っただけで…」
「よく分かりますね」
「やっぱり我慢してるのか!?何を…」
いつの間にか距離を詰められ、窓際まで追い詰められていた。
「酷いですね会長。それ、オレに言わせたいんですか?
ではオレの質問に答えてくれたらさっきの質問に答えてあげます。
どうしてそんなにオレのことが気になるんですか?」
「それは別に意味など…どうしてと言われても分からない」
「分からない、か…。会長、こういう時会長は嘘しか言えなくなりますね」
「な、何を言っている勝手に…」
「会長、どうしてそんなに赤い顔をなされてるんです?」
「別に赤くなど…!」
「緊張してません?」
「し、していない!」
「会長こそ、我慢してませんか?」
「っ……」
「…すいません。言い過ぎました」
キリはそのまま踵を返し生徒会室の出口を目指す。
気付けばボクはキリの右手を掴んで引き止めていた。
「…てる…我慢してる…!!どうしてなんだ!?全然分からん!キリのせいだ!あんなことしなければ、こんなこと気づかなかったんだ!本当はずっとキリと手繋いでたかったんだ!
わけがわからない…何故こんなにドキドキしなければならないんだ、何故離れると寂しいなんて思ってしまうんだ。何故こんなに…ボクはお前にだけ混乱させられてしまうんだ…キリの阿呆…何故いつも絡んでくるんだ」

手を握られた。
「本当…ずるいですね、会長
オレにどれだけ我慢させれば気がすむんです?
会長にいつも絡んでしまうのは、面白い反応が見たいから。普段は強気な会長がふいに可愛いく笑うから、びっくりしたり、見てたら面白いけど危なっかしくてハラハラしたり、何を我慢してるのかと言われたら色々ありすぎて一言じゃ答えられないのですが。例えば今だって…」

頬に手を添えられた。
近い。顔が、唇が。
花火が上がった音が背後で聞こえる。

「オレが今、本当に考えてることですが、」
まっすぐな視線がボクを捉える
「好きです、会長」
「なっ…お前なんか、嫌いだ…」
「さすがに、ズルすぎます、会長」
「キリの阿呆…」



しっかり手を握ってキャンプファイヤーのために外へ向かう。
誰もいない廊下が永遠と続いているようだった。




──────────
ネタ:会長はメイド様!

玉砕\(^O^)/
会長はメイド様パロでした!
パロというかセリフをそのまま当てはめただけ。
無理矢理感が否めない。
普段の美咲&碓氷だったらいいかもしれない。
完全にシーン選択ミスである。
いやいいシーンなんだけどね!ふぉぉぉおっ!!!ってくらいテンションの上がるシーンなんだけどなー



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