∵ ぬくもり

椿キリ





「たまには外で食べるのも気持ちいいな」

「会長、寒くないですか?」
オレは会長に上着を貸そうとした。
「いや、ボクは大丈夫だ。寧ろキリの方が薄着ではないか?」
「鍛えているので大丈夫です」
「本当か?」
「ええ」
逆に心配されてしまったかと思えば、急に手を触られた。

「冷たいじゃないか!」
「だ、大丈夫です!」
「ボクのを貸そう」
「いいです!会長がお身体を壊してしまいます!」
「ボクなら平気だ。重ね着だってしている」
「しかし…サイズも違いますし、その、」
「いいから、ほら」
会長が強引にオレの背中にブレザーをかけた。

「どうだ?」
「…会長の匂いがします」



ぬくもり

2011.12.24

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