∵ チュウサンタ

スイボス





「今日はチュウサンタからみんなにプレゼント持ってきたぞー」
チュウさんが久しぶりに部室に顔を出した。

「怪しすぎるやろ!なんやこれ!」
「性なる夜にぴったりの薬だ」
「アウトォー!色んな意味でアウトだチュウさん!」
「いらないの?じゃあ今からおねえさんに飲ませてくるかな」
「ダメ!絶対!スイッチ、チュウさんを止めろ!」
『イェッサー!』
ドアに一番近いスイッチにチュウさんの制止を頼んだ。

『それをよく見せてくれ』
「なんだ興味湧いたのか?ほらよ」
奇妙な色をした液体の入ったペットボトルはスイッチの手に渡った。
つかなんで毎回ペットボトルなんだ?

『ふむ』
「よし、ナイスだスイッチ!早く捨てよう」
『…ゴクッ』
「な…!?」

『不味いな…』
「何飲んでんだスイッチー!!」
『己の探求心を追究しようとしただけだ。安心しろ、何も起こらないぞ』
「冒険しすぎやろ!」

「一応即効性あるからなーそんじゃ」
「おいちょっとチュウさん!」
「アタシも知らんでー」
「待てヒメコ!」

「…」
チュウさんとヒメコは逃げるように部室を出ていった。

『ボッスン、』
「な、なんだよ」
『助けてくれ』
「助け…いや待て待て!何?なんなのこれ!?」
『助けてくれないのか?』
「なんだよ、こっちくんなよ…」
ゆっくりこちらに歩み寄るスイッチに思わず見惚れてしまった。いや、恐怖で足が動かなかったのかもしれない。

「おいスイッチ!」
畳の上、どんなに後ろに逃げようと思っても壁にぶつかるだけだった。

「スイッ…」
閉じかけた唇を割り開いて口内に侵入してきたスイッチの舌は、甘い味がした。まさかな…

「っ…!」
スイッチを押し退け、机の上の怪しいペットボトルを手にした。
キャップを開け、鼻を近付ければ、さっきの甘い風味がした。
確信を持ったオレは、それを飲んだ。

「…やっぱりな」

『バレたか』
「思いっきりジュースじゃねえか!つかよく飲めたなお前!」

怪しい液体はスイッチの苦手な炭酸飲料だった。
『不味いと言ったじゃないか』

「聞きたいことがありすぎんだけど」
『なんでも聞いてくれ』
「なんで飲んだ?」
『それは本当に興味本位だ』
「お前スゴいな!じゃあ飲んでから炭酸って気付いたのかよ」
『開けた時になんとなく気付いた』

「じゃあ、助けてくれっていうのは?」
『演技だwww』
「お前オレをからかったな!」
『文句ならチュウさんに言ってくれ』
「チュウさんとこ行ってくる」
『行ってらっしゃいダーリン』
「誰がダーリンだ!」



──────────
真意は私にも分かりません。
本当に媚薬かもしれないし、
本当に助けて欲しかったかもしれない。

2011.12.24


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