∵ I have one thing to say.

安キリ





ケータイが鳴った。鳴ったと思った。
着信履歴には加藤希里と表示されていた。

「ワン切りかよ」

掛け間違いかもしれないが、念のためかけてみる。


3コールほどで繋がった

『なんだ』
「なんだってお前、今オレに電話しただろ」
『し、してねえよ』
「嘘つけ」
『間違えた』
「本当か?誰と間違えたんだ?」
『それは、その…あ、アリだ、蟻と間違えたんだ』
「可愛いなお前」
『アンタは存在が蟻以下だな』
「ひでーな!」

『…』
「んじゃまあ、掛け間違いならもう切るぞー?」
『…』
「じゃあ、」
『切ったら斬る』
「こえーよ」
『…』

「…で、何の用だ?」
『……誕生日だろ、アンタ』
「ああ」

『…』
「祝いの言葉は?ないの?」
『別にオレは会長に電話くらい掛けてやれと言われたから掛けてやっただけだ』
「誕生日関係ねーのかよ」
『うるせえ』
「なんなんだお前」
『じゃあな』

切られた。
「マジか」
掛け直してみようと履歴から希里の名前を探し、通話ボタンを押した。

「出ねー」
諦めてケータイを閉じれば、すぐに着信が鳴る。
メールらしい。

「おほっ」


Data:12/05 18:10
From:加藤希里
Sub:無題
――――――――
おめでとう

----END----


他人から見たらきっと冷たく見えるメールだが、オレや他の知り合いから見たら十分気持ちのあるメールだと思う。
これは凄く貴重だ。

とりあえずこのメールを保護して、返信内容を考えることにした。


(愛してる、で返信すっか)



2011.12.05

( prev : top : next )
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -