∵ dual

バニボス





「あらぁ、ボッスンって意外と大胆なのねぇ」
「いや、ちょ違う違う違う!!」

生徒会に反省文を提出しに行くところだった。
ちょうど生徒会室から出てくる宇佐見とぶつかってしまい、バランスが取れず前に倒れてしまった。
咄嗟に床に手をつこうと前に出したが、それは床ではなくもっと柔らかいところについてしまったらしい。
つまりは宇佐見、いやバニーの胸だ。

そして冒頭に戻る。

「もっと触っていいのよ?」
退けたはずの手を掴まれ再び胸元に戻される。

「それとも、」
オレの下にいたはずのバニーがいきなり体を反転させた。
あっという間に視界が変わり、背中にはひんやりとした床があった。

「攻められる方がいい?」

「とりあえずオレの上から退いてくれ」

「ねえ」
「なんだよ」

「アタシ今日誕生日なんだけどぉ」
「マジで?」
「嘘ついてどーすんのよ」
「お、おめでとう」
「ありがとう。で、何かくれないの?」
「何かつってもな…今何も持ってねえし」
「そう…残念。じゃあ童貞貰ってあげるわ」
「なっ、」
「恥ずかしがらなくてもいいのにぃ」
身体をまさぐられ始め、危機感を感じて何かないかと必死にポケットを漁る。

「あ、あった!ほら、これやるから!」
「何これ」
「ヒメコがゲーセンで取ったんだ。たくさんあるから生徒会の連中にもあげようって話になってたんだ」
小さい動物のマスコットキーホルダーだ。

「ふぅん…でも、アタシの趣味じゃないわ」
そう言ってバニーはキーホルダーを受け取ってくれなかった。

「お前の、バニーの趣味じゃなくても宇佐見はどうなんだ?」
「なんであの子が出てくるのよ」
「アンタだって元は宇佐見自身だろ」

「あなたもそういう見方をするのね」
急に雰囲気が変わった気がした。
「…気に入らないわ」
突然オレの上から退いたバニーは、悲しそうだった。

「アタシはアタシとして見てほしいのよ。まあ、もうその扱いにも慣れたけど」

バニーは、貰っていくわ、ありがとうとその場に残し立ち去った。

ちゃんと祝ってやらなきゃな、と思った。



2011.11.25

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