∵ 言えない叶わない

「愛してる」

その言葉に嘘はない。
たとえ言えなくても。
誰よりきっと愛してる。




離れていた。随分と。
いや、それほど日は経っていないのかもしれない。
でもやはり、思い出す度に辛くなった。

「おっ、ミチルじゃねーか!久しぶりだな」
放課後、帰ろうと廊下を歩いていたら聞き覚えのある声がした。
「ああ、安形か。久しぶり」
会いたかった、なんてことは言わない。いや、言えない。

「今から生徒会覗きに行こうと思ってな。ミチルも行くか?」
「…うん行くよ」
正直行きたくはなかった。
「椿どうしてっかなー」
「…どうしてんだろうね」
ほらね。だから行きたくないんだ。でも―

叶わないなんてわかってても、それでもいい
でもせめて今だけは―

「椿のやつびっくりするかもなー」
「…そんなに、そんなに椿ちゃんが気になる?」
「そうだなー」
せめて今だけは側に――



ガラッ
「やってっかー?」
どこの居酒屋だ、と突っ込む気も失せた。
「か、会長!?」
「会長は今お前だろーが」
それでも笑顔で。
「やあ椿ちゃん久しぶり」
「榛葉さんも!どうしたんですか?」
「あら、お久しぶりですわ」
「会議中だった?ごめんねー邪魔しちゃ悪いから帰ろうか安形」
ここには居たくない。

安形の手を掴んで廊下に引っ張ろうとした。
「まあいいじゃねーか会議なんか」
今日は見学だ、とかなんとか言いながら会議の邪魔にならないように生徒会室の端に座り込んでいた。

「えーでは会議に戻ります」

見ていなかった。安形の目は、椿ちゃんしか見ていなかった。

オレはただそれを、見つめていた―――




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ネタ:Hard to say I love you〜言い出せなくて〜

わけわかめですね



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