∵ こっそりロシアンルーレット

「ちょお買いすぎたわぁ」

勢いよく開かれた部室のドアと共に聞き慣れたテンションの高い声がした。
目を向ければ、買い物袋をぶら下げたヒメコがドンと机に物を置いた。
…部室に居なかった理由はこれか。

「おお!シュークリームだ!」

一口サイズの小さいシュークリームがたくさん入ったプラスチックのパックのものだった。

「せや、今日朝学校来る前にオカンにチラシ貰てん。でもな、安くなるの夕方からやって」

「いやでもな…」
『買い過ぎじゃないか?』

一パックで十分なそれを五パック買ったらしい。
まあ十パックとか買ってこられるよりマシだけど。

「色々味変えて食べよかと思ってな」
そう言いながらガサガサと袋を漁るヒメコは、そこからチョコやら何やらを取り出した。

「ポットの湯で湯煎できるか分からんけどちょお試してみよや」

なんか面倒くさそうなのでオレは一旦席を外すことにした。
「じゃあオレトイレ行ってくるわ」

「はよ戻ってきいやー」





用を済まし寄り道をしながら部室に向かうと、甘い匂いがした。

「あ、ボッスン遅いで!」
「あれ、もう出来たの?」
「いや、うちの部室冷蔵庫ないやんか?」
「普通無いだろ」
「せやからコーティングしたチョコ固まるの待ってんねん」
「これは?」

机の上には、使いかけのカラースプレーや星やハートの形のトッピングが散らかっていたが、そのまま何も装飾をされていないシュークリームも数個残っていた

「食べてええで」
そう言ってヒメコとスイッチも一つずつ口に運んだ。

「んじゃあ、」
口の中に放り込んで、ふわふわの生地に歯を立てた。

「お、うま…?ゲホッゲホッ!まっず!お前ら何しやがった!?」

「アホやなアンタ!」
『からし入りだ』
スイッチの手にはからしの入った絞り袋が握られていた。

「ちょ、水くれ!水!」
「これでええか?」
「ガムシロ!それガムシロだから!」



こっそりロシアンルーレット

2011.11.19

( prev : top : next )
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -