∵ Morning

藤崎兄妹





朝、目が覚めると一番にケータイを開き時間を確認する。今日はアラームが鳴るよりも先に起きていたらしい。
それより、メールと電話が来ている。

あーオレ昨日帰ってきてすぐベッドにダイブしたんだっけ。
ネコ探し終わったの10時だもんなあ…

服を見れば、いつもの制服のままだった。シャワーでも浴びるか。

重たいまぶたを擦りながらメールの受信ボックスを見ればいくつか溜まっていたおめでとうメールと喋りたがりのヒメコからの着歴が3件。

因みに溜まっていたメールは半分ほどがスイッチによるもので、奴は一文字ずつ分けてメールを送ってきていた。嫌がらせか。

とりあえず風呂場に向かおうとケータイを手放し部屋を出れば、自分の部屋から出てきたルミがいた。

「お兄ちゃん寝過ぎ」
「おー」
「昨日の夕飯お兄ちゃんのぶん食べちゃったからね」
「太るぞ」
「うるさいわね!」
「あーオレ風呂いってくるから」
「ねえ」
「あ?」
「おめでとう」
「…ああ」



ゆっくり風呂に入りたいところだが、そんなことしてたら間違いなく遅刻だ。
朝飯もゆっくり食べたい。昨日の夜食べてないぶん余計お腹が空いている。

まあ昨日のネコ探しのお礼に肉まん奢って貰ったけど。

今日の朝食を当てようと考えながら風呂から出た。今日は玉子焼きが食べたい気分だ。
着替えてリビングに向かおうと廊下に出ればドタドタと足音が聞こえてくる。

「悪い、ユウスケ!母ちゃん時間無いからパンでも買って食べて!」

「え、ちょ」
「夕方には帰るから!行ってきまーす!」

おお…玉子焼きか目玉焼きか真剣に迷った自分がバカみたいだ…!

とりあえずリビングに行けば、おにぎりをかじりながらテレビを見ているルミがいた。

「はい、お兄ちゃんの」
目の前に出された皿の上にはおにぎりが3つ。

「ルミが握ったの?」
「そうだけど」
「何味?」
「食べたら分かるじゃん」
「何味か知ってて食べるのと知らないで食べるのじゃ全然ちげーだろ」
「全部塩」
「マジで?」
「だって具になりそうなのもふりかけも無かったんだもん」
「まあ、ありがとな」
「あ、それプレゼントだから」
「は?」
「誕生日プレゼント」
「マジで?」
「マジで」
「オレがあげたプレゼントとの差!」
「米農家さんと海苔つくってる人と塩つくってる人とご飯炊いた母ちゃんとおにぎり握ったアタシの愛情が詰まってるじゃない」
「いやまあそうだけどおにぎりって…」
プレゼントの期待値としては、おにぎりはかなり下だ。
まあ空腹感に負けたオレはそれを完食したわけだけど。もう少し味が欲しかったかな、うん。

とりあえず朝昼代にと机の上に置かれた野口さん一枚をポケットに入れて、学校へ行く準備をした。





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