∵ インドンキ

「うおー!なんか久々に来たぜー!テンション上がってきたー!」
「アタシもや!ちょお化粧品買ってこ!」

『本来の目的を忘れてないか?』
本来の目的――それは部室のラジカセを新しく買い変えることだ。

「後でええやん!なあ、ボッスン…あれ?」
『ボッスンなら先に行ってしまったぞ』
「なんやねんアイツ子供か!」
『探しに行こう』


探すといっても広い。
どこですれ違いになるか分からない。
しかし大体見当はついていた。


「うおー!こっちもいいな!いやでもこれも捨てがたい!」
子供に混ざりおもちゃを真剣に物色中の見覚えのある後ろ姿が見えた。

「何しとんアンタ」
「これ見てくれ!」
「あ?」
「部室にあったら暇潰しになるだろ?」
「いやまあそうかもしれんけど」
「よし買おう!これ買おう!」
「子供か!」


結局、卓上ゲームの類を幾つかカゴに入れた。

「そういやスイッチどこ行ったんだ?」
「なんや今度はアイツか」
「あいつは多趣味だかんなー」
「どこ居るか見当つけへんな」

取り敢えず、端から順にまわっていくことにした。


「いねーなー…てアレ?ヒメコ?」
「これ可愛いわぁ」
ボッスンが振り向くと少し後ろで何か物色しているヒメコがいた。

「何やってんだよ」
「見てみコレ!」
「何これ」
「何って見て分かるやろ!」
「ウーパールーパー?」
「せや!可愛いやろ?」
「まあ可愛いけどさ、」
「部室で飼われへんかなー」
「お前ぜってー途中で世話めんどくさくなって放置するだろ!」
「せえへんせえへん!飼おうや!な?」
「家で飼え家で!今スイッチ探してんだぞ?」
「飼うって言うまでアタシここから動かへんで」
「子供か!」

『何をしている』
「おう!なんだスイッチどこ行ってたんだよ」
『トイレだが』

「なあスイッチもこれ可愛いと思わへん?」
『そうだな』
「せやろ?飼いたいやろ?せやけどボッスンがダメって言いよるんよ」
『ボッスンはケチだからなw』
「ケチじゃねーよ!大体こんなもんのために部費使わねーよ」
「アンタかておもちゃ買おうとしとるやないか」
「部活に必要なもんだろーよ!」
「ウーパールーパーやって部活に必要や!」
「何に使うんだよ!」
「癒しや癒し!癒しを求めて依頼人が来てみ?どうやって癒すん?アンタ癒せへんやろ?せやから必要やん」
「そんなもんオレの身体から放つマイナスイオンで癒してやんよ!」
「アンタの身体から出とんのは邪気とかなんかそんなんやろ」
「邪気ってなんだよ!そういうヒメコだって変なオーラ出てんぞ」
「出てへんわ!ちょおもうアンタイライラするわ。一発殴ってええか?」
「なんでだよ!なんでおめーはいつもすぐ手が出んだよ!」




…数分後。
口論の末、結局各自買いたいものを買ったらいいんじゃないか、ということになった。



「色々買ったなー」
「お菓子もたくさん買うたから明日から色々食べれんで!」
「オレ水鉄砲買ったぞ!これで暑くても快適に過ごせるぜ!」
「ホントお子さまやなアンタ」
「悪かったな、お子さまで」
「そういやスイッチは何買うたん?」
『何も買っていない。それより、大事なことを忘れてないだろうか』

「なんや?」
「なんかあったか?」
『何か買い忘れているだろう』
暫く沈黙の空気が流れた。

「…あ、」
「ラジカセ…?」

ボッスンとヒメコは顔を合わせた。

「オレたちドンキに何しに来たんだ…」




──────────
ドンキネタ。
ドンキにウーパールーパーが瓶に入れられて陳列されてた気がして。


2011.08.06


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