∵ 遭遇したら終わり

バニキリ





何故だ。

「ねぇキリくんったらぁ」

どうしてこうなった。

「うるせーどけ」

生徒会室に入ったら明らかに雰囲気の違う宇佐見がいて、引き返そうとしたら、あっという間にソファに押し倒された。
男とは違う柔かな足がオレの足を挟む。
「アタシと遊ばない?」
かれこれ数分、この調子だ。
身体をまさぐられている。

宇佐見は片手で俺を抑えつけ、もう一方の手で胸元のボタンを外していた。
今の宇佐見とは対照的な下着が少しだけ見えた。
「どけっつってんだろ」
「今日はフロントホックよ」
「人の話を聞け!」
「それとも…下の方が気になる?」
宇佐見は自らスカートを少しだけ捲りながら、もう片手で俺の自身にズボン越しに触れた。
「あら」
「…やめろ」
宇佐見は的確に刺激を与えてくる。
「反応してるのにぃ?」
健全な男子高校生なら誰だってこうなるだろう。
「やっぱり直接触ってほしい?それとも…」

口でしてほしい?
急に近付いたかと思うと、耳元でそう囁かれた。
と同時に腹のあたりで聞き慣れたカチャカチャという音がした。
なんというか、手慣れ過ぎだろ。

「やめろよ…っ」
「まだそんなこと言ってぇいい加減諦めたらどーお?」
抵抗する間もなくあっという間にズボンは膝あたりまで脱がされてしまった。
「キリくんはボクサーパンツなのねぇ」
敏感になっているそこを軽く触れられる。
「キツそうだから脱がせてあげよっか」
もうダメだ。
パンツを脱がされかけたその時、ドアが開く音がした。
「なっ…」

「あらぁーん会長」
「ななな何をしている…!?」
「会長もどう?」
オレの上をやっと離れたかと思うと、宇佐見は会長を追い詰めていた。

「アタシといいことしなぁい?」
あっという間に会長のネクタイを外しボタンを外しにかかる宇佐見の後ろ姿とヘルプサインを送っているであろう会長が見える。
オレはとりあえず、壁に追いやられている会長に一声かけ、女子を呼びに生徒会室を後にした。

すいません会長。オレにはどうすることもできません。




2011.07.19

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