∵ かき氷

「チュウさんから氷貰ってきたぞー」
「変な薬とか入ってへんやろな?」
「一応他の職員とかも使ってるみてーだったから大丈夫だろ」

『早くセットしよう』




室内にガッガッとリズムの悪い音が響く。

「…なあ、なんで手動なん?」
「しょーがねーだろー貰いもんだしよー」
『刃が悪いんじゃないか?』
「もうこれジェイソン先生あたりに任せた方が早くない…?」
「アカンアカン!なんか変な彫刻とかにされるんちゃう?」
「もうそのまま食べるか」
「何ガリガリやっとんねん!なんもおもんないわ!かき氷やる言うからアタシ色々買ってきてんで!」

「ヒメコ」
首から背中に急にひんやりとした物体が滑り落ちる。
「ぎゃぁあ!冷たっ!何しとん!何定番のイタズラ女子に仕掛けとんねん!」
「氷は背中に入れるもんだろ」
「なんやアンタ耳ん中氷入れたろか!」
「ちょ、待て待て!入んねーよ?入ったとしても入れちゃダメだよ?どうなるか分かってる?」
「知らんわそんなん」
「えぇ!?」

『二人とも、このままだと氷が溶けるぞ』
「せや、これどうすんねん」
「誰かかき氷機持ってねーかなー」
「そんなん持っとるヤツおらんやろ」
「スイッチおめー作れねーのか?」
「さすがのスイッチでもかき氷機は作れへんやろ」

『やってみよう』
「出来るんかい!」
「さすがスイッチ!」
『さすがに作るのは無理だが刃を取り替えれば済む話だ』
「そうや!なんで気付かんかったんや!」
「よし行けスイッチ!」




『これで大丈夫なはずだ』
「よし!ヒメコ、氷準備!」
「…………」
「ヒメコ?」
「……けとる…」
「ケトル?湯でも沸かすのか?」
「ちゃうわ!氷や氷!氷溶けとるやんかアンタのせいで!」
「えぇ!?お前何やってくれちゃってんの!?」
「アンタがタラタラやっとるから溶けたんやろ!」
「ちげーよ!オレじゃねーよ!かき氷機がタラタラやってんだよ!」
「なんやかき氷機がタラタラって!」

『ボッスン』
「どうしたスイッチ」
『まだ氷あるんじゃないか?』
「…おお!」
「せや、はよチュウさんとこ行ってこい!」
「おう!待ってろ氷!」




「次はねーからな」
氷が削れるリズムの良い音がする。
「おお!ちゃんと削れてる!」
『かなり鋭い刃だからな』
「雪山みてーになったぞ!」
「お前欲張って盛るなや」
「シロップと夏みかん買ってきたか?」
「ばっちり買ってきたで!」
「おう、サンキュー!やっぱ夏みかんかき氷が一番だよな!」
『他には何を買ってきたんだ?』
「えっとなー…シロップはイチゴ、レモン、メロン、ブルーハワイ、それとカルピス、練乳、フルーツの缶詰め、あずき…」
「待て待て待て!どんだけ買ってんの!?」
「あとな、ソフトクリーム作るやつやろ?それからー」
「誰がそんなに食うんだよ!」
『全部混ぜてボッスンが食べるんだな』
「せやせや!余ったらアンタ全部食え!」
「何言ってんの!?何ファミレスのドリンクバー感覚で混ぜ始めてんの!?」
『オレの分のブルーハワイは残しておいてくれ』
「はいよー!アタシは練乳イチゴやから、それ以外は混ぜていいんやな?」
『ああ。調合は任せた』
「よっしゃ!アタシがめっちゃ美味いの作ったる!」
「いやいやいや!これ混ぜてウマいわけないよ?誰が食べるの?オレ食べないよ!?」
『次削るぞ』
「アタシの分もやっといてやー」
『了解だ』
「オレシカト!?」




──────────
夏みかんかき氷が美味しそうで、
ああボッスン好きそうだなーと思って、
ボッスンに夏みかんかき氷食べて貰いたかったんだけど
なんか色々逸れた。


2011.07.14


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