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03.崩れる信頼





「俺は悪くねぇっ!」


それを繰り返すしか、俺には出来なかった。

皆の責めるような視線が、お前の所為だと言う視線が、全部俺に向いていたから。

だって、俺は何も知らなかったんだ、誰も教えてくれなかったじゃないか。

俺は、師匠を信じたんだ。

何が間違ってるって言うんだ。

俺は、アクゼリュスを助けようとした、それだけなのに…。

誰も、分かってくれない。




「お前は俺の劣化複写人間だ、ただのレプリカなんだよ!」


信じない、信じたくない。

俺と言う存在を、全て否定された気がして。


「嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だぁっ!!」


もう、何も信じられなくて。

俺は何も考えずに剣を振るった。





俺の、存在する意味って何だろう。

俺の、生まれた意味って何だろう。

もう、全てを忘れたいと思った。

俺はもう、独りだから。


だけど…居たんだ、そこに。


「ティア…?」

「…ルーク……」


俺を待っていた訳じゃないんだろうけど、それでも。

そこに居たのが嬉しくて。

でも、悲しくて。


「…ティア、ごめん…っ俺……」


初めて涙を流して謝った。

アクゼリュスを滅ぼしてしまった事実から逃げたくて、認めたくなくて。

それでも逃げられなくて、それは真実で。

誰かに許して欲しかったのかもしれない。

誰でも良いから、


『貴方が悪いんじゃない』


そう言って欲しくて。

だけど、悪いのはやっぱり俺。

困惑した様子の彼女は、黙ってそれを受け入れてくれた。


「謝るのは、私じゃないでしょう?」


宥めるように、優しく微笑んでくれたティア。

また涙が溢れた。

まだ、俺にこんな顔を見せてくれるのだと。


「…ありが、とう…ティア……」


やっと言えた言葉。





03.崩れる信頼-end-





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