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6.アッシュ。緑とピンクを観察してみる





「うわぁぁん!!シンクの馬鹿ァっ!!」

「は!?僕が何したって言うのさ!!」

「甘いの嫌いだからプリンあげるって言ったのに食べちゃったぁ!!」

「嫌いとは言ったけどあげるなんて一言も言ってないね。」

「言ったもん!!」

「言ってない!!」


ああ…またやっている。

食事くらい静かに出来ないのだろうか、この屑共は。


「シンク、アリエッタ。煩いぞ。」


呆れたリグレットが口を挟む…が、逆効果だ。


「シンクのせいで怒られたぁ!!」

「アンタがギャーギャーと馬鹿みたいに騒ぐからだろ?」

「アリエッタ騒いでないもん!!シンクの馬鹿ぁ!!」

「馬鹿で結構。」

「うわぁぁん!!」


泣き過ぎて言葉すら発する事の出来なくなったアリエッタは、バタバタと食堂を後にした……シンクにコップ一杯の水を頭から被せて。

ビショビショになって呆然とするシンク。


「…水も滴る捻くれ男だな。」


リグレットが笑いを堪えて言うと、睨むようにして視線を返したシンクが立ち上がった。


「アリエッタを追い掛けてやれよ?」

「誰が。シャワー浴びて来るんだよ。」


イライラと怒りを露にした口調で吐き捨てると、シンクもその場を後にした。


「素直じゃない奴らだな。まぁ、それも若さ故か…。」


そう呟いてお茶を飲むリグレットは、何処かオバサンに見えて悲しかった。





数十分後、静かになった食堂でしっかりと食事を取った俺は、自室に戻る為廊下を歩いていた。


「…ナタリア……ん?あれは…」


俺の独り言は無視するが、その時俺が見た物は…


「シンクと…アリエッタ…?」


木陰に仲良く二人並んで昼寝している。

シンクは仮面で見えない為寝ていると言う確証はないが、規則正しい肩の動きから眠っているようだ。

並んでと言っても、木に寄りかかって座ったシンクの膝をアリエッタが枕にして寝ているのだが……

クソッ羨ましい奴め…俺だってナタリアの膝枕で…と、逆か。


…それは良いとしても、先程食堂内で喧嘩していたのは俺の幻覚か?

子供の気まぐれは良く分からない。



リグレットの気苦労もまだまだ続きそうだ。





6.アッシュ。緑とピンクを観察してみる-end-





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