5 「アッシュ…ありがとうございます……そう仰って頂けて…私……」 「ナタリア……?」 言いかけたまま俯いてしまったナタリアを心配するアッシュ。 次の瞬間。 「私、今日一日アッシュの看病をしますわ!」 「…あ?」 「アッシュが早く良くなるよう、栄養のある物を作って来ます!キッチンをお借りしますわ!」 「ま、待て!」 引き留めようと叫ぶが、時既に遅し。 ナタリアの姿はキッチンへと消えて行った。 ……ナタリアの料理…。 風邪の辛さを、腹の痛みが超えるかもしれないとアッシュは思った。 「いや、良薬口に苦しとも言うから……逆に栄養は満点な可能性も……!!」 少しでも希望を見出そうとしたアッシュだが、敢え無く撃沈。 ナタリアの料理は、『苦い』なんて言葉では表現出来ない物だった。 次の日、そのままアッシュの部屋で寝てしまっていたナタリアは、風邪を移されベッド行き。 アッシュは既に風邪の症状を超えて、瀕死となっていた。 何故か神託の盾本部で寝込んだナタリアと、意識の戻らないアッシュ。 二人の看病には、六神将の者が駆り出され…… 「貴方も、殿方としての礼儀がなっていませんわ。私が今日一日でしっかり叩き込んで……」 アッシュの担当に逃げたシンクの代わりに、一日中ナタリアの説教を受けるラルゴの姿があった。 愛に試練は付き物である。 -end- ← back |