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「……此処だよ。」



あれからアッシュの部屋に辿り着くまで、シンクは延々とその性格について文句を言われ、精神的に疲れ切っていた。


早くアッシュに押し付けようと扉を開けて中に入る。



「アッシュ、アンタに客だよ。」


「…ん…シンクか?客って誰……」



アッシュの視線がナタリアを捉えた瞬間固まる。



「な、ナタリア……?」


「アッシューっ!!」



喜びのあまり、ベッドで上半身だけを起こしたアッシュへダイブするナタリア。


ぐあっとアッシュが小さく悲鳴を上げたが、ナタリアには関係ない。



「私、私…心配しましたのよ!?体調を崩した、とだけでルークとの回線も切れてしまいましたし……」


「…すまない、ナタリア……」



病人のアッシュが一人の女性を支え切るのは困難な技だが、愛するナタリアが自分を心配してくれた事、わざわざ会いに来てくれた事への嬉しさは、自然とアッシュを喜びに満たした。


……それを支えるアッシュの両腕は震えていたが。


その微笑ましい(?)光景に、シンクは無表情で拍手をしながらその部屋を去った。



「それよりナタリア…お前、どうやって此処まで?」


「シンクに案内して頂きましたの。」


「アイツがっ!?」


「ええ。最も、あの方には殿方の礼儀がなってませんでしたので、基礎中の基礎から教えて差し上げましたわ。」


「そ、そうか……」



心の中でシンクに謝るアッシュ。



「それよりアッシュ。私、今日はお見舞いに来ましたのよ。いつもアッシュにばかり会いに来させてしまって……」


「いや、俺が行きたくて行っているんだ。気にするな。……それに、お前が来てくれた事が……何より………」



そこでアッシュは言葉に詰まる。


じっと此方を見て続きを待つナタリアの視線に耐えられなくなったのだ。



「な、何でもない!」


「え!?続きを聞かせて下さいませ、アッシュ!」


「やっぱり止めだ!」



顔を真っ赤にして全力否定するアッシュを見て、ナタリアは高熱だと勘違いする。





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