2 「あれ?アンタ……」 そこへ兵にとっての救世主、任務から本部へと帰還したシンクが通りかかる。 「し、シンク様!!この者が此処を通せと……」 「…へぇ、一人で乗り込むなんて、いい度胸だね。何なら僕が相手になるよ?」 「お黙りなさいっ!!」 戦闘の構えを取ろうとしていたシンクもその怒声に固まる。 「貴方達のような野蛮な輩と一緒にされるとは、不本意ですわ。私は貴方達が攻めてこない限り戦うつもりなど、一切ありませんもの。」 「…は?」 「貴方達が馬鹿みたいに騒ぎを起こして喧嘩を売って来るので、買ってあげているだけと言う事ですわ…!!」 「馬鹿みたいって……」 「私はアッシュのお見舞いに参りましたの。」 「アッシュ?ああ、そう言えば風邪で寝込んでるって……」 「それですわ!!」 一言一言に厳しく、激しく返って来るナタリアの声に、シンクは既に引き気味。 「早く私のアッシュに会いたいのです。此処を通しなさい。」 「し、シンク様〜…!」 矢を向けられた兵はシンクに助けを求める。 シンクも巻き込まれるのは御免だと、本部に入れる事を許可した。 「ま、後は好きにしてよ。確かにイオンがいないなら、こっちも戦う意味は無いし。」 「待ちなさい。」 去ろうとしたシンクは腕の紐を引かれてつんのめる。 「私はアッシュの部屋を知りません。」 「…あっそ。その辺の奴にでも聞けば…」 「一度認めたからには最後まで責任を持つのが殿方でしょう!!」 「え……」 「さぁ、早くアッシュの部屋に連れて行って下さいませ。」 「……。」 二度とこの王女と関わりたくないと、心の底から思ったシンクだった。 _ ←→ back |