5 5.神様。手を繋ぐという行為は許されますか? アリエッタは、イオン様が好き…。 導師守護役を解任された時は、本当に辛くて悲しくて、アニスに取られちゃった事が悔しくて、ずっと泣いてた。 それでもまだ、イオン様が大好き。 だけどね… 「アリエッタ」 イオン様が居たはずの隣には、今は別の人が居る。 「アリエッタ」 髪色とか声とか、本当にそっくりなのに…イオン様とは全然違う。 「アリエッタ」 それなのに、あの人が隣に居て、凄く幸せに感じちゃってるの。 「アリエッタ!!」 「…っはい!?何…ですか、シンク…。」 「何って…全く唯でさえいつもぼんやりしてるのに、今日は一段と酷いね。」 「う、ん…。考え事してた、です。」 「…アリエッタが考え事?珍しいね。何を考えてた訳?」 「……あのね、シンクの事。」 「…は?」 「アリエッタにとってシンクって何だろうって…。」 「…で、答えは出た訳?」 アリエッタは良く分からなくて、首を横に振った。 「…まぁ、導師の代わり…って言ったとこじゃない?」 シンクはイオン様が嫌い。 今だって口調が刺々しいし…。 でもそれは違う。 「…アリエッタは、シンクを誰かの代わりなんて思った事ない…です。」 「嘘だね。導師を失った寂しさを埋める為に…」 「違うもん…!!」 シンクの意地悪な言葉に少し怒ったのもあるけど、そう言ってるシンクの方が辛そうで言葉を遮った。 「イオン様は、アリエッタの大切な人…でもね、シンクも同じくらい大切…、ずっと一緒に居たいって思う…です。」 「…お友達に認定したんじゃない?」 「違うの…お友達とはもっと別で…何て言うのかなぁ…。」 「別って…っ…」 口を開いたシンクは突然言葉を止めた。 仮面越しで分かる程顔を真っ赤にして。 「シンク…?」 「…っアンタの言いたい事は分かったから、この話は終わりだよ!」 「…うん?…ねぇ、シンク…。」 「何さ。」 「…手、繋いで良い?」 「っ…好きにすれば?」 「うん、ありがとう…。」 隣に座っているシンクの手を軽く握った。 手袋越しで伝わる体温が嬉しくて… イオン様…私は今、幸せです。 5.神様。手を繋ぐという行為は許されますか?-end- ←→ back |