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――ルーティside――


本当は馬鹿スタンをエイプリルフールで騙してやる予定だったのに。


部屋に運ばれネタ晴らしの前にリオンと二人きり。


大体、今日の為にわざわざ昨日から咳真似して前振りしてやったのに、気付かなかったってどういう事よ!


後で殴る…。


でも、リオンが気付いたなんて意外。


アイツの事だし、アタシの方なんて見向きもしないと思ってたのに、見てくれてたんだ。


…ん?額に温かい感触。


バレないようにうっすらと目を開けると、リオンの掌だった。



「…熱はないみたいだな。」


『…やっぱりただの風邪では?』


「だが、倒れる程だ…もっと別の病気かもしれん。」


『アトワイト、何か知らない?』


『さ、さぁ?私も良く分からないの。』



アトワイトの口止めしといて良かった、と内心ホッとする。


でも、リオンがアタシの心配してくれてるなんて…これもまた意外。


とことん嫌われてると思ってたし。



「…ん?」



小さく声を上げたリオン。


何かしら、目を開けて確認出来ないのが苛立たしい。


なんて思っていたら



「…起きろ、馬鹿女。」



え、誰の事よ。



「狸寝入りは止めて、さっさと起きろ。」



…アタシ?



「ルーティ!」


「はい!」



――ゴンッ


諦めて目を開けると同時に体を起こそうとしたアタシの頭は、リオンの頭に直撃。



「…っ…急に起きるな、馬鹿女!」


「なっ…アンタが起きろって言ったんでしょ?大体、乙女の寝顔を覗き込むなんて失礼ね。」


「フンッ。誰が乙女だ、狸。」


「アタシはスタンを騙そうとしただけ。何でアンタまで此処にいるのよ。」


『ルーティ、今の言い方は酷いわ。リオンさんは貴女を心配して…』


「違っ…僕は…」


「ああ、わざわざ熱まで計って心配してくれたものねー。」


「……。」


「まぁ一応言ってあげるわ。ありが……」


「デモンズランス――っ!!」


「きゃーっ何すんのよアンタ!人が折角礼を…」


「黙れ!そこに直れ!」


「何様よアンタ!」



こうして始まった二人の戦いはスタンが帰るまで続き、宿を破壊した二人は結局寒空の下に晒され、次の日本当に風邪で寝込む事となった。





-end-





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