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「大変だ…!」



いつも以上に騒がしいスタンは、ノックもせずに僕の部屋に踏み入れた。


田舎者に礼儀なんて望むだけ無駄か。



「リオン、どうしよう!」


「何なんだ、一体。」


「ルーティが倒れた!」


「何?」



今日は珍しく全員が自由行動と言う理由で、久々に一人静かな読書の時間を過ごしていたのだが。


その言葉で一転し、僕はスタンの案内の元、ルーティの部屋へ走った。



「ルーティ!だ、大丈夫か!?リオン連れて来た!」



ベッドに横になったルーティに駆け寄るスタンは、完全にパニック。



「俺達、一緒に装備とか揃えに行ってて…そしたらルーティが突然フラリとその場に倒れちゃったんだ!どうしよう!ファーストエイド…医者!」


「落ち着け、馬鹿者。」



――ゴンッ


目を覚まさせる為に、シャルで後頭部に一撃入れてやった。


痛みのあまりその場に蹲ったスタンを押し退けルーティに近付く。



「…呼吸に乱れはない。…恐らく、風邪だろうな。」


「か、風邪!?何で分かるんだよ、リオン!」


「昨日コイツが咳をしていた。…お前と話している時だったが、気付かなかったのか?」


「…全然。」


「…はぁ…少しは洞察力を鍛えろ。」


「わ、分かった…それで、俺はどうすればいいんだ?」


「とりあえずは薬だな。」


「薬…薬……」



スタンが救急箱を覗く。


しかし、スタンの様子からして風邪薬はきらしているようだ。



「リオン…風邪薬、無いみたい…」


「ならば買いに行け。」


「俺が!?」


「この寒空の下、僕まで風邪をひいたらどうする。」


「俺は?」


「馬鹿は風邪をひかないと決まっているから安心しろ。」


「何だよそれー!」


「いいかさっさと行け。」



――バンッ


スタンを蹴り飛ばし、半ば無理矢理部屋から追い出すと、僕はルーティの寝るベッド脇に腰掛けた。





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