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早速とばかりに興味を示したアリエッタ。



「イオン様、何か嘘ない…?」


「はは、アリエッタ。嘘は相手に黙って言うから嘘なんだよ?自分で考えなくちゃ。」


「うんと…本当じゃない事……」



直ぐに何か思い付いたらしいアリエッタは、満面の笑顔でイオンに言った。



「アリエッタ、イオン様の事大嫌い、です!」


「…は?」



思わず顔が引き釣ったのがバレていない事を願う。



「イオン様の事、大っ嫌い、です!」


「アリエッタ?……ああ…」



漸くイオンもそれがアリエッタなりの嘘だと気付く。


しかし……


満面の笑顔で「嫌い」と連呼されるのは何とも辛いものである。



「イオン様大っ嫌いー!」



つまりイオンは「大好き」と言われているのだろうが…。


初めての嘘で楽しいらしいアリエッタは、叫ぶ叫ぶ。



「イオン様嫌いー、大っ嫌いー!」



本当に自分の事を嫌っているのではないかと思わせる満面の笑顔。


本人は楽しんでいるだけでもやはり…。


この時ばかりは教えなければ良かった、と後悔したイオンも、ただ黙って聞いているのも辛い。


だから少し意地だったが、言い返してみた。



「僕もアリエッタが大嫌い。」



…しかも満面の笑みで。


するとアリエッタは叫ぶのをピタリと止め、みるみる泣き顔へと変わり、泣き出してしまった。



「ええっ!?」



流石に驚いたイオンは慌てて駆け寄るが、一向に泣き止む気配がない。



「アリエッタ、嘘だよ嘘!ほら、エイプリルフール!」


「でもやだぁ〜……イオンさまに嫌われるのやだ〜っ…!」



そう思うなら、此方の気持ちにも気付いてくれよと内心呟くが口には出せず、ただアリエッタの頭を撫でて宥めるイオン。



「ほんとに、うそ…?」


「本当だよ。アリエッタの事、大好きだから。」


「………」



漸く泣き止むと思ったが、アリエッタの目には再び涙が浮かぶ。



「…それも、うそ…?」


「へ?」


「イオンさまやっぱりアリエッタの事嫌いなんだ…やだぁ〜…!」



どんどんややこしくなる話。


そうしてアリエッタを宥められたのは数時間後の話で。


エイプリルフールなんて二度と来るなと思ったイオンでした。





-end-





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