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アリエッタを育て始めてどれくらいになるだろう、とイオンは考えていた。


目の前で走り回るアリエッタは既に沢山の言葉を覚え、ぎこちなくも周りの人と会話出来るようになっていた。


そんなアリエッタの成長を見るのは、イオンにとって苦しくも楽しみな物で。


自分がいなくなるまでに、可能な限りを教えようと思った。


ただ、レプリカの事を除いて。





「イオン様、考えごと…?」


「ああ、何でもないよ。それより、さっきからアリエッタは何をしてるの?」


「蝶々さんと追い掛けっこ、です!」


「…へぇ。捕まえられた?」


「蝶々さん、高い所飛んで行っちゃって、駄目だった…です。」


「そっか……」



そりゃそうだろう。


アリエッタにとっては楽しい追い掛けっこでも、蝶々にとっては命がけの追い掛けっこ。


そんな蝶々の気持ちを悟るなんて、アリエッタにはまだ出来るはずもなく。



「また見付けたら、次はお友達にも協力して貰う、です!」



ライガ達は捕まえるってより、潰したり食べたりするんじゃないか、なんて疑問は飲み込んで。



「捕まえたらイオン様にも半分あげる、です!」


「はは、ありがとう。」



半分ってそれは……考えるのはよそう。



「それよりアリエッタ、今日は何の日か知ってる?」


「…今日?」



案の定知らないアリエッタは、ふるふると首を横に振った。



「今日は、エイプリルフールって言うんだ。」


「えいぷり…る…ふーる……えいぷりるふーるっ!」



一回で言えた事が嬉しいらしいアリエッタは、意味が分からないまま何度もそれを繰り返した。



「エイプリルフールっていうのはね、嘘をつく日なんだよ。」


「うそ?」


「そう、本当じゃない事を言っても許される日なんだよ。」


「うそ…アリエッタも、嘘言いたい!」





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