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「イオン様〜っ!」


「はい、どうしました?アニス。」



優しい笑顔で顔を上げるイオンに、アニスは申し訳なさそうに書類を差し出す。



「ごめんなさい、追加みたいです〜…」


「…そうですか…。いえ、謝る必要はありませんよ。アニスが悪い訳ではないんですから…ね?」


「でも〜…モースの奴ぅ…っ」



疲れが目に見えているイオンをこれ以上働かせたくなくて。


アニスはいつかモースにトクナガパンチをお見舞いしようと心に決めた。


そんな時期のエイプリルフール。


アニスは悩んでいた。



「折角だから何か嘘つきたいんだけどなぁ〜……」



今までの記憶を掘り起こす。



『イオン様、イオン様!』


『何ですか?アニス。』


『根暗ッタの乗ってるライガって食用らしいですよ!(←嘘)』


『そうだったんですか…!誰かに食べられたりしたら、アリエッタが悲しみます……。』


『……なぁんて、冗談ですけどね!』


『え?』



既に【食用ライガ保護】の書類を作り始めていたイオン様。


食用ライガなんて無いですよ。


また別の日。



『イオン様、イオン様!』


『はい、アニス。何ですか?』


『シンクの仮面ってクッキーで出来てるらしいですよ!(←嘘)』


『そうだったんですか!非常食でもあったのですね……』


『……なぁんて、冗談……あれ?イオン様?』



既にその場にいなくなっていたイオンはシンクの前に居て。



『シンク、僕にも少し味見させて頂けませんか?』


『……は?』


『そのような便利な物でしたら、教団内に普及してみようかと思いまして。』


『…何の話?』


『勿論、貴方の仮面……』


『わああぁぁぁっ!ごめん、シンク!何でもないから!』



慌ててイオンの口を塞いで自室で謝った。


嘘だったと謝っても、怒る気配すら見せずに笑って済ませてくれる。


…イオンは、人を疑う事を知らない。



「駄目だー!あのイオン様を騙すなんて罪悪感がー!」



廊下で一人叫びながら歩くアニスは、結局何も思いつかないままイオンの部屋へ着いてしまった。



「うう……失礼しまーす……」



ゆっくり戸を開けて視界に入ったのは





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