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只今六神将の会議中。


最近は難しい話ばかりでアリエッタにはよく分からず、殆んど聞いていないため暇を持て余していた。


人形をきつく抱き締めながら足のつかない高さの椅子で、足をぶらぶらと揺らしている。



「暇、です……」



一人呟くが、真剣な周りは全く気付かない。


アリエッタは顔を上げ、皆を相手に作戦等を細かく話していく彼、シンクを見つめた。


いつも堂々としていて、自分の意見をはっきり言えて、頭も良くて、優しくて、格好良くて……


そこまで考えて思わずアリエッタの思考は止まる。


自分は何を考えているのだ。


そして一人恥ずかしさに襲われ、シンクを見ていられなくなり、人形に顔を埋めた。





会議が終わると、皆それぞれ自分の部屋へと帰っていく。


そして最後に書類等を片付けてから帰ろうとするシンクを見つけ、アリエッタは駆け寄った。



「…っシンク!」


「ああ、アリエッタ…」


「あの…お疲れ様、です……」


「どうも。…約一名全く聞いてくれてない人もいたみたいだけど。」



直ぐ様自分の事だと分かり、申し訳なくて顔を俯かせる。



「…まぁ、いつも通りアンタ用に分かりやすくまとめた書類持ってくから。」


「あ、ありがとう…です。」


「で、何か用なんだろ?どうしたの?」


「あ、えっと……」



実は特に用事もなかった為に口ごもる。


しかしそこではっとするアリエッタ。


今日はエイプリルフール。


シンクに嘘をつこうと。



「…あ…シンク!」


「何?」


「えっと…キスして欲しい…です!!」


「…は?熱でもあるの?」



聞き返されれば、自分は馬鹿な事を言ったのだと恥ずかしさから顔が赤くなる。



「…だめ…?シンク、アリエッタの事…きらい…?」



思わず涙目になって問うアリエッタ。


自分が嘘のつもりで言った事など忘れて。



「…いや、嫌いとかじゃなくて……」


「じゃあキス…!!」



だだっこにしては内容が凄いと冷や汗を流しながら、誰にも聞かれていないだろうなと周りの気配を探るシンク。


しかし、ふとシンクは笑みを浮かべた。





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