7 ―どうせもう、みんな消えるのさ。― 「どうせもう、みんな消えるのさ。」 地に伏せたレプリカ達を見下ろして言った。 だってそうだろう? もし此処で僕が倒れたとしても、アンタ達がヴァンに勝てる訳ないんだ。 「アンタ達がどれだけ足掻こうが、無駄なんだよ。分かるだろう…?」 そう言ってやっても、まだ必死に立とうと手を地に付くレプリカ達。 「……本当に、馬鹿だね…。」 その時トドメを刺して置かなかったのは、余裕? それとも、同情? ……もしかしたら、少しだけ…コイツらにも希望を持ってしまったのかもしれない。 そう…第七音素を消し去ってくれるなら、誰でも良かったんだから。 「俺達は…こんな所で負けられないんだ…!!」 「兄さんを…止めてみせる…っ。」 「私達には、民の希望に応える義務があるのです!」 「…のんびりとは、していられないのですよ。」 「旦那の言う通り…休んでる訳にもいかないな…。」 「お願い、シンク…そこを退いて!…これ以上…悲しみたくないよ…っ…」 勝手だね、みんな。 無駄だって言ってるのに。 消えるって言ってるのに。 それでも、立ち向かおうとする。 「……ねぇ…」 「え…?」 「人は消えても、この空は変わらないんだろうね…。」 「シンク…?」 「もし生まれ変わった時に、まだこの世界があったら……」 毎日空を見上げて 毎日雲が流れるのを見て 憎しみなんて忘れて 人間として生きたい… 「シンク、お前……」 「…さぁ、無駄話は終わりだよ。続きをやろうか。世界はどっちを選ぶのか……」 「シンク…あんた馬鹿だよ…っ本当に…!!」 この世界があったら、なんて…もしレプリカ達が勝ったら、なんて…。 少し考えていたらしい。 やっぱり僕は、馬鹿なんだろうね……。 _ ←→ back |