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―使い道のある奴だけが、お情けで息をしてるってことさ。―



目が霞む。


頭がぼやける。


血が、僕の頬と顎を伝っていた。


目の前には奴がいる。
僕と同じレプリカで、僕と同じ顔で、僕と違う…使われている奴。

憎くてたまらない奴が、僕と一定距離を置いて手を差し延べていた。


当然、僕は拒否した。


動いた瞬間、傷口から血が滴り落ちてくる。
その血が僕の顔を隠していた仮面を汚した。


なんで…あいつだけが使われているんだ…

なんで…僕は生かされてるんだ…


なんで…レプリカなんてものがあるんだ…


僕の意識はぼんやりとなる中、怒りと憎しみだけははっきりしていた。


そんな悲しそうな顔をするな。

そんな哀れむような顔をするな。


…吐き気がする。


そう…あんたなんかに悲しまれるのが…

1番嫌なんだよ。


どうせ、僕はヴァンに使われるだけの捨て駒さ。

一度廃棄されて…生かされた存在意義なんてそれだけで十分だ。


誰がなんと言おうと…


アッシュのレプリカが世界を救おうと


ヴァンな妹がヴァンを殺しても



    ・・
世界が…僕達の運命が変わるわけじゃない。


オリジナルに詠まれた預言は、必ず…。


どうせ、いずれか死ぬ運命だったんだ。

だから今死のうが、僕の勝手。
僕の最後の悪あがき。


あ…もう駄目みたい…


頭が…働いてくれない…



血がもう…ないんだな…



こんな奴らなんかに、死に顔を晒したくなんかない。


最後の力で、僕は後ずさる。


僕が"レプリカ"という存在じゃなかったらな…


「使い道のある奴だけが」


でも、もういいさ…
僕はもう用済み。


譜陣を消したし、邪魔もした。


この役目に着いた時点で、ヴァンは僕を捨てるつもりだったんだな。


今更、命なんていらないさ。どうせ作られた命。勝手に作られ、勝手に廃棄され、勝手に生かされた…。


だったら、望みどうり死んでやる。



「お情けで息をしているってことさ…」


七番目…それはあんたにやるよ。


この言葉に縛られ続ければいい。
お情け同然に生きているあんたに…


力がもう…ない…

後ろに壁なんかない。
無論壁なんかいらない。


落ちるような感覚が、僕の全身に伝わった。



使い道の無くなった僕は




この死に方で十分…―


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