1 ―六神将、烈風のシンク…本気で行くよ。― 「導師イオン!」 馬鹿みたいだね。偽物の導師を真剣に助けようとして…。アンタ達全員、この偽物に騙されてるっていうのに。 「イオンを返せ!」 レプリカルーク。自分が周りを騙している事にすら気付かない、愚かなレプリカ。 コイツを見る度に、アッシュの顔が歪むんだ。それを見るのが、凄く心地よい。 レプリカを蔑み、憎むようなその眼が、オリジナルの導師と同じだから。…こんな近くにもレプリカがいるって知ったら、どうするんだろうね? 「イオン様を返して!」 ああ、そうだ。……白々しいね、アニス。アンタも仲間を騙してるんだろう? 人を騙す人間の周りには、人を騙す人間が集まるのかもね。…僕達六神将みたいに、さ。 まぁ、もう少しくらい…導師の猿芝居に付き合ってやってもいいかな。つまらない世界に、つまらない暇潰し。ヴァンならきっと変えてくれる、この愚かな世界を。 『烈風のシンク』なんて肩書き、本当はどうでもいいんだけどね。ヴァンが必要だと言うから。…僕を利用する上で。 利用される事に何も感じないのは、僕が空っぽだから。無意味な存在だから。 もし僕に感情なんてものがあるのなら、きっとこの顔と一緒に隠してしまったんだ。醜くもくだらない、自分の心ってものを。 …さて、やってみようか?預言の上に踊らされるちっぽけな人間達と、預言の上に作られた動く人形。どちらが世界に必要とされてるか。 「六神将、烈風のシンク…本気で行くよ。」 _ ←→ back |