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1.印象的な髪





――…フワリ…


仕事を終えて木陰で昼寝をしていた僕は、人の気配を感じて目を開けた。

真っ先に視界に入ったのは鮮やかなピンク…

彼女が長い髪を垂らしながら、僕を覗き込んでいた。


「…誰。」


本当は知ってた。

アイツの周りをいつも嬉しそうに付いていってたピンクの髪。

導師守護役から解任されて六神将に来た事も。


「…えっと……今日から…六神将に入った…アリエッタ…です。」

「…ふぅん。…で?」

「…紹介して貰ったとき…いなかったから…挨拶に来た…です。よろしく…」

「へぇ。残念ながら此方は宜しくする気無いから。わざわざゴクロウサマ。」


僕がそう嫌味を込めて返すと、彼女は黙り込んでしまった。

人形を強く抱き締めて涙を堪えている。

だからこう言う奴、嫌いなんだ…鬱陶しい。


「…僕はシンクだよ。寝たいんだから、さっさと何処か行ってくれる?」


一応名乗っただけなのに、彼女は少し驚いてから泣くのを止めて嬉しそうに微笑んだ。


「……シンク…。」

「何。」

「…ううん…、何でもない…です。」


暫く経ってもいなくなる様子の無い相手に苛ついている僕に対して、彼女はニコニコと笑って此方を見ていた。


「…あのさぁ、何か用でもある訳?」

「ない…です。」

「じゃあさっさと何処か行ってよ。」

「シンク…そこで寝るの、気持ち良いですか…?」

「…はぁ?嫌いじゃないけど…。」


質問の意味が分からずに答えると、彼女は僕の答えに満足げに頷き、何故か僕の隣に横になった。


「…何のつもりさ。」

「アリエッタも、寝る…です!!」


満面の笑顔を向けて来る彼女。文句を言えば泣かれるだろう。

面倒事は御免だと、僕は返事を返した。


「勝手にすれば?」


寝る寸前まで、風によって浮かぶピンクの髪が頭に焼き付いていた。





1.印象的な髪-end-





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