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05.ミカン投げ





「ミカンを取ってくれ。」


それはアッシュの他愛ない一言から始まった。


コタツに入った六神将は各々好きな事をしていた。

銃の手入れ(リグレット)、

鎌の手入れ(ラルゴ)、

アニスの人形修理(ディスト)、

魔物のブラッシング(アリエッタ)、

仮面の手入れ(シンク)。


そして一人、コタツに入らず剣の手入れをしていたアッシュの言葉に全員が反応し、いつもなら誰も答えないであろうその注文に、全員が答えてしまったのだ。

勿論皆、よそ見をしながら。


飛んで来るであろうミカンをキャッチする為、ふと顔を上げたアッシュ。


「助か…Σうぉっ!?待っ……」


ベチャッと音がし、皆が顔を上げると、アッシュは六個のミカンでオレンジ色に染まっていた。(←私も投げた)


「…てめぇら…二本の手で、どうやって六個のミカンを取れっつーんだよ!」


思わず大爆笑する他の六神将に、アッシュは自分に張り付いた無惨に潰れたミカンを剥がし、それを投げつける。

笑うのに夢中だったリグレットにそれが当たる。


――あの時は真面目に怖かった。by後日談、アッシュ


ゆらりと立ち上がったリグレットは、コタツに置かれたミカンを潰れる程に握り締める。


「Σがはっ!!」


次の瞬間私を含めた全員の顔でミカンが潰れていた。(アッシュにだけは何故かめり込んでいたが)


「貴様らもいつまで笑っている!!食べ物を粗末にするな!!」

「アンタが一番無駄にしてるんじゃないの?リグレット…。」

「…何か言ったか、シンク。」

「いえ、滅相も無い。」


あれは鬼の形相どころじゃない、閻魔の形相だった。byシンク



こうして皆それぞれ自室に戻り、風呂に入る事になったのだ。


…減ったミカンは私が補充しておいたぞ。





皆が楽しそう(?)だったが、ミカンの汁が目に入って暫く悶えたぞ。byヴァン





05.ミカン投げ-end-





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