2 02.ツリー作り 「ツリーを作るぞ。」 「つりー?」 私の呼び掛けに答えたのはアリエッタだけだった。 他の者は変質者捜索に夢中なようだ。 …特にシンクが。 「総長、つりーって何?」 「それはだな、アリエッタ。木に色々と飾り付けをした物の事だ。異国では、クリスマスにそのツリーを飾るのだよ。」 「綺麗?」 「夜はピカピカ、昼はキラキラだ!」 「…凄い、です。(総長も)」 この時俺は、二度とこの変人を師と呼ぶことはないと誓った。byアッシュ 「と言う事で、ラルゴ。木を切って来い。」 「…お断りする。」 「Σなぬ!?…アリエッタが悲しむぞ?」 「…分かった。」 ふふ、ラルゴが子供に弱いのは調査済みだ。 「次にアッシュ。飾りを準備しろ。」 「Σ何で俺が…っ」 「アリエッタが泣…」 「分かったよ!!ちっ…屑が!!」 アッシュが無駄に優しいのも調査済み。 「ディスト、星を作れ。」 「星ですか?」 「ツリーのてっぺんには星があるのが約束らしい。」 「…星ですね、分かりました。」 ほう、ディストは素直だな。 「リグレットは、ラルゴが持って来た木の形を整えてくれ。三角だぞ。」 「…分かりました。」 リグレットが素直なのは予想通り。 「そしてシンクは……」 「…何だよ。」 「草むしり。」 「Σ何それ!?何かツリー作りに関係なくない!?っていうか……」 「何を言うか!ツリーを立てる場所確保だぞ!立派な仕事だ。」 「僕は嫌……」 「アリエッタが……」 「ああもう分かったよ!!やれば良いんだろ!?」 アリエッタに弱いシンクも調査済みだ。 さて、私はアリエッタと完成を待つとするかな?(←自分は何もしない) ――数時間後。 「ヴァン、出来たぞ。」 アッシュに呼ばれ、庭に出る。 視界に入ったのは、 ラルゴの準備した枯れ木。 形はリグレットが整えた、何故か逆三角。 アッシュの準備した飾りと言う名のリボン(多数)。 ディストが準備した、何故かうにょうにょと動く星。 草むしりが嫌だったシンクが草ごと雪を燃やしたのだろう、茶色の土が丸見えの庭に立っていた。 …世界に1つだけのツリー。 この涙はきっと嬉し泣きさ。byヴァン 02.ツリー作り-end- ←→ back |