7



―痛みすら感じない―



いくら戦ったって

いくら傷ついたって



いくら人間が死んだって




ボクに痛みなんてない。





「双牙斬っ!!!」

「ふ…そんなの効くと思ってるわけ?」



戦いなんて、互いが傷付け合うだけ…そんな考えを持った方が負けなのに。



「歪められし扉…」

「遅いよっ!唸れ烈風!タービュランス!!」



どんなに戦ったってボクは傷つくことはない。


だってボクは空っぽなんだよ?


空っぽなボクが傷ついたって…。



「ミスティック・ケージ!!!」

「っぁぁあっ!!」




アンタらは確かに強いかもね。
でもボクと戦ったって、勝とうとしたって、アンタらに利益はないよ。

疲れて、傷ついて、心に傷を作ったりして。



アンタらは敵と戦ってるのに、いちいち感傷なんかしちゃってさ。



「お前はなんでそんなに卑屈なんだ…」

「だめよガイ…そっとしときましょ…」

「シンク…」



そんな質問ボクが答えられる訳ないだろ?慈悲なんていらない。

そんな悲しい顔ボクに見せるな。




死ぬときだって、アンタらは悲しい顔。戦ってるときだって悲しい顔。



アンタらは一体何がしたいわけ?
ボクに生きてほしいの?死んでほしいの?


中途半端はこれだから…。
どうせ"導師イオン"と同じレプリカだから…とか、そこらの理由だろうね。




でも、それでもボクは平気なんだ。

体中傷を付けられようが…心を傷つけられようが…。



痛くも痒くもない。





なんでかわかる?


空っぽだからだよ。


何もない。ボクの存在意義すらあやふやだからね。

生きてたって死んでたって、たいして変わらないから。


そうだろ?ボクが死んだところで、人は変われる?世界が変わる?




適当に作られたんだから、当たり前なんだけどね。



あ…もう目が見えないや。

ボクは…痛みなんてないけど…。




どうしてこんなにも

例え小さくても

生にしがみつこうと




してるのかな…






_





back
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -