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―孤独を恐れて―



虚無の自身から、浮かぶそれがなんのか



僕はわからない。







「お気楽なやつ………」



陽の眩しさがうざったいくらい晴れた日。



七番目は導師守護役と中庭に出ていた。



何を話しているのかは聞こえないが、それは楽しそうに。



“イオン”に話しかけているのは豚大詠師(ひどいょ)に利用されているアニス・タトリン。



「馬鹿みたい」



“イオン”。



お前知らないだろ?



お前が唯一心許している導師守護役ですら、“代用品”の監視役なんだよ。




そして、アニスは七番目がレプリカだってことを知らない。




既に死んでいる被験者の偽物。




お互いに騙し合っている以上、七番目は哀れな道化。



“被験者の代用品”“導師”のレプリカという立場から逃げ出すことすらできない。



孤独な、ピエロ。





でも、それなのに楽しそうに笑うお前が憎いよ、七番目。



同じレプリカなのに、代用品になれなかった僕は、導師守護役のようなやつなんていない。



僕もまた、哀れなピエロ。



否、ピエロですらない。




「………ほんとに馬鹿馬鹿しい」



虚しくなって、目を閉じて俯く。窓から注がれる光の帯を遮るように、顔の上に本を被せた。



結局、笑い声が耳障りで





窓を閉じた。





《孤独を恐れて》

(自ら人を払い除けている、
歪であろうと仲間がいることを知らない

僕もまた孤独)





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