2 「……分かんねぇんだよ…」 「はい?」 ジェイドがわざとらしく、もっと大きい声で言うように聞き返す。 「だーかーらー!ティアが何で怒ってんのか分かんねぇんだよ!」 「「……」」 何から言葉を掛けていいのやら、二人は口を閉ざす。 「俺、何かした覚えないんだよ…。だけど、今朝いつも通り食堂に行ったらさ……」 「ティアの態度が冷え切っていた、と。」 「うん……」 ガイの予測に小さく頷くと、ルークは不機嫌を越えて完全に落ち込んでしまったようで、萎れたように俯いてしまった。 「ふーむ、ティアの機嫌…ですか。」 「俺、別にそんなの気付かなかったけどなぁ。」 ティアの冷たい態度がルーク限定だったのか、またはティアの不機嫌に気付いたのがルークだけだったのかは分からないが、兎に角ティアの機嫌が治らなければ、このままではルークが泣き出してしまいそうだ。 「うーん…旦那、何か心当たりは?」 「…いえ、さっぱりですね。」 「…本当か?」 「疑うんですか?酷いですねぇ…」 「旦那はいつも知っている事を簡単に話そうとしなかったからな。どうしても疑っちまうんだよ。」 「それでは私が悪いみたいじゃないですか。」 「旦那の日頃の行いだろ。」 「おやおや、貴方も人のことが言える立場……」 「だー!うっせぇ!」 言い合いを始めた二人を前に、ルークが立ち上がって怒鳴った。 「そんな事どーでもいいんだよ!」 「自分のプライドに懸けて、どうでも良くないだろ。」 「私だって。」 「そう言う意味じゃなくて…!」 ルークは自分を落ちつけようと椅子に座り直し、話を続ける。 「ガイは、俺にとっての親友だろ?頼りがいがあって、一番俺の事を分かってくれる。ジェイドだって、俺にとって大切な仲間だ。…まぁ確かに、何度も何度も馬鹿にされたけどさ。それに見合うだけの知識を持ってるから、尊敬してる。」 「…ルーク……」 「ほぉ…ルークが他人を褒めるとは…これも変化の証、ですかねぇ。」 「…前言撤回すっぞ……」 「冗談です。」 「とにかく、二人は俺にとって、かけがえの無い存在なんだ。そんなお互いの事、貶し合って欲しくない。」 「…悪かったよ、ルーク。」 「私も少し、反省と言うのもしてみましょうかね。」 本気かも分からないジェイドの言葉を耳にすると、ルークは安心したように一息。 そして直ぐに顔を上げた。 「で、俺はどうすればいい…!?」 _ ←→ back |