6 ――ルークside―― 「ん……」 「ルーク!?大丈夫?」 「あれ…俺……」 目を覚ますと、喉がズキズキして少しせき込んだ。 口の中はしょっぱい味がした。 落ち着いて再び目を開くと、目の前にはティアの顔。 自分が膝枕をされているのだと、漸く気付いた。 慌てて飛び起きる。 「うわ!ご、ごめ……」 「……貴方、私を助けてから直ぐ溺れちゃったのよ。」 苦笑気味に説明するティア。 俺は、無我夢中でティアを助けてから…そう、初めての状況に混乱し、水を飲んで意識を失ったのだ。 「私が貴方を支えて浮いている時に、ガイが来てくれて…陸まで運んだのよ。」 「……ごめん…迷惑、掛けたよな……」 「いえ。……ありがとう、凄く嬉しかった。」 「……え?」 「だって、心配してくれたんでしょう?」 「…そう、だけど……俺、結局迷惑掛けちゃっただけだし……」 「貴方が心配して、助けに来てくれた…それだけで、凄く嬉しかったから。」 優しく微笑んでくれるティアに、安心して笑い返した。 「…ほら、だから言ったでしょう?危険だと。…剣を持ったまま海に飛び込むなんて……」 「え?…悪い、気付かなかった……」 「……まぁ、良いでしょう。私の声など聞こえない程、愛しの君を心配していたと言う事ですから。」 皮肉めいたジェイドの言葉に、俺の顔は赤くなった。 気のせいでなければ、ティアも赤くなってたと思う。 「おやおやぁ?反論がないのは、つまらないですねぇ。…私はもう少し休みますので、また泳いで来たらどうです?今度は、お二人で。」 にっこりと笑ったジェイド、それは二人なら安心だろうと遠回りに述べた言葉。 「…行きましょうか、ルーク。」 「あ、ああ…!」 差し出された手を取る。 今日の頭からやり直す。 今度は、ティアの傍を離れないように。 一緒に居られるように。 燦々と照り付ける太陽は 俺たちを見下ろし 嘲笑う 笑う そして最後に 微笑む -end- ← back |