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「まぁ、あの程度の魔物なら…って、ルーク?」



――ガッ



俺はシートに乗っていた自分の剣を掴み、そのまま海まで全力疾走。



「ルーク!?危険です…!!」



後ろから聞こえる声なんて耳に入らなかった。


浮かんで来ないティアが心配で。



「くそ……っ」



水圧で動きの鈍くなる足を出来る限り速く動かし、ティアの元へ向かった。





――ティアside――


「……んぐっ……(何、コレ…魔物!?)」



私は足に絡み付いたイカの足を振り払おうとしていたが、魔物である以上、人の手で軽く外せる力ではない。


強く引っ張られるようにして、自分の身体がどんどん深く沈んで行くのが分かる。



「(…でも、この程度なら…譜術で……)」



倒せる、そう思い、魔物に向かって手を向けたその時。





――ザバンッ!



頭上から音がする。


驚いて顔を上げると、ルークが剣を振り下ろしていた。


そしてそのまま私の足に巻き付いたイカの足を斬ると同時に、水圧で重いであろう剣を振り上げ大王イカに挿した。


ゴボッと水音を立てて藻掻くイカは、逃げるようにその場から去って行く。


振り向いたルークは私を見て、安心したように表情を緩めたのだが。



「(ルーク!?)」



どんどん離れていく私と彼の距離。


当然だろう、剣を持ったまま水の中に入るなど、重石を持って入ったようなものなのだから。



「(ルーク!…もう、何で剣を離さないの……!!)」



足の付かない水中で殆どパニックになっている様子のルーク。


当然、水上に上がろうとバタバタと藻掻いているだけ。


剣を離す様子などない。


私はルークの元へ急ぎ泳ぐが、ゴボッと音がすると同時に、ルークの口から空気が漏れた。


息が限界だったのだろう。


そのまま意識を失ったルークは剣を落とし、私はルークを掴まえ、抱えるように水上まで泳いだ。





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