3 ベッドへ戻り、差し出されたお粥を食べ始める。 「…美味い……」 「本当?良かったわ…」 「ティアって、料理上手かったんだな。」 「…下手だと思っていたって事?」 ルークの発言に少なからず不満を持ち、ティアは眉間に皺を寄せて問い返す。 「いや…今まで、おにぎり位しか作って貰った事なかったからさ……」 「…そう言えばそうね…。まぁ、これで誤解も解けたって事かしら?」 料理などアニスに任せきりになっていた事に気付き、ティアは小さく冗談めいた口調で微笑んだ。 ルークは顔が熱くなるのを感じ、それが相手にばれないのは自分が熱である事からだと、それさえ良かったと思ってしまう。 「お粗末様でした。」 自分が作った物を喜んで完食して貰うのは、この上ない喜びだと感じた。 ティアは、ルークが食べ終わった食器をその場に重ねて持ち運べる体勢にする。 「なぁ…ティア……」 「何?」 「…手、握ってて…いいか?」 「いいわよ?」 手を握ると直ぐにルークの表情が和らぐ。 「…温かいな……」 「あら?私は冷血女じゃなかったかしら?」 珍しい相手の発言に対しての驚きを隠すように、ティアは過去相手に言われた言葉を思い出して問い返した。 しかし、彼はそれを覚えていないのか、覚えていながら言ったのか。 「…そんな事ない…ティアは…温かい…よ……」 過去の自分との矛盾に気付かないまま、ルークは静かに眠りについた。 繰り返される規則正しい呼吸は、昼のものとは違う。 穏やかなものだった。 「…熱の所為よ、馬鹿……」 それを理解しながら、彼の優しい言葉に屁理屈を返したティア。 彼女の呟きは、誰にも聞かれる事は無かった。 _ ←→ back |