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ベッドへ戻り、差し出されたお粥を食べ始める。



「…美味い……」


「本当?良かったわ…」


「ティアって、料理上手かったんだな。」


「…下手だと思っていたって事?」



ルークの発言に少なからず不満を持ち、ティアは眉間に皺を寄せて問い返す。



「いや…今まで、おにぎり位しか作って貰った事なかったからさ……」


「…そう言えばそうね…。まぁ、これで誤解も解けたって事かしら?」



料理などアニスに任せきりになっていた事に気付き、ティアは小さく冗談めいた口調で微笑んだ。


ルークは顔が熱くなるのを感じ、それが相手にばれないのは自分が熱である事からだと、それさえ良かったと思ってしまう。



「お粗末様でした。」



自分が作った物を喜んで完食して貰うのは、この上ない喜びだと感じた。


ティアは、ルークが食べ終わった食器をその場に重ねて持ち運べる体勢にする。



「なぁ…ティア……」


「何?」


「…手、握ってて…いいか?」


「いいわよ?」



手を握ると直ぐにルークの表情が和らぐ。



「…温かいな……」


「あら?私は冷血女じゃなかったかしら?」



珍しい相手の発言に対しての驚きを隠すように、ティアは過去相手に言われた言葉を思い出して問い返した。


しかし、彼はそれを覚えていないのか、覚えていながら言ったのか。



「…そんな事ない…ティアは…温かい…よ……」



過去の自分との矛盾に気付かないまま、ルークは静かに眠りについた。


繰り返される規則正しい呼吸は、昼のものとは違う。


穏やかなものだった。



「…熱の所為よ、馬鹿……」



それを理解しながら、彼の優しい言葉に屁理屈を返したティア。


彼女の呟きは、誰にも聞かれる事は無かった。





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