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「ご、ごめん…俺…そんなつもりじゃ……」


「え!?あ、ち、違うのよ。貴方を責めている訳ではないの。寧ろ、貴方のその心懸けは良い事だと思うわ。けれど、体調を我慢してまでするべき配慮ではない…と言いたかったの。御免なさい、言葉が足りなかったわね。」


「そっか…良かった……」


「ええ…つまり、無理はしないでって事。」


「あ、ありがとう……」



誤解が解けると安心したようにティアも微笑んだ。



「今日はこの宿に泊まりましょう。」

「うん…」


「…熱は?」



額にティアの手が当たる。


熱の所為か、冷たく感じるその手が心地良い。



「…結構あるわね。寝てなさい…?」



寝るよう促されれば、ルークは既に落ちて来ていた瞼に従うように瞳を閉じた。


傍に在る存在に安心しながら。





――どれくらい経ったのだろうか、ルークはゆっくりと目を覚ました。


自然と覚醒した所為か、はっきりとした頭で状況を理解する。


汗を掻いて服が気持ち悪く感じる反面、体調は大分良くなったようだ。



「……ティア?」



部屋を一通り見回して見るが、彼女の姿が見えない。


自分の部屋に戻ってしまったのか、出掛けてしまったのか。


どちらにしろ、残念に思ってしまうこの気持ちは拭えない。



「…腹、減ったな……」



体調が回復した証拠か、空腹を訴える身体に気付く。


体力を付ける為には食べるべきだと判断したルークは、何か軽い物でも口にしようと部屋に備え付けられたキッチンへと向かう。


しかしそこでは



「……ティア?」


「ルーク!?起きて大丈夫なの?」


「あ…うん…。ちょっと小腹が空いちまって……」


「そう、丁度良かった。今お粥が出来たところなの。」


「…お粥?…俺の為に?」


「え?…そうだけど…嫌いだった?」


「そ、そんな事ねぇよ!その…嬉しくて…ありがとな。」



ティアは微笑んで言われた礼に、自分の頬が赤らんだ事に気付かなかった。





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