8








8.仮面の下のその笑顔





アリエッタは決めました……シンクに笑って貰う、です!!

アリエッタと話してても、何故か馬鹿にしたような笑いしか零さないシンク。

アリエッタはシンクに、お菓子作る事にした、です。

きっと美味しいお菓子を食べたら自然と笑っちゃうし…それが手作りならもっと幸せになれるはず、です。


「…チョコレートケーキ……」


ふと頭によぎった美味しいお菓子を作る事にします。

勿論、自分の好物。

アリエッタは、早速調理場を借りて作り始めました。




――数時間後…。


「漸く出来た、です。」


冷蔵庫から綺麗に仕上がったケーキを出しました。


「…美味しそう、です…少しなら食べても…っ駄目!!これはシンクにあげるの!!」


自分の欲望には負けず、ケーキを箱に入れて綺麗にラッピングします。

食べやすいようにフォークとナイフを入れて…。

シンクはもう、いつもの場所にいるのかな…。


箱を斜めにしないように持って、いつもの場所に行きました。


「シンク…っ!!」


緑の髪が木の影から見えると、走り出したい衝動を抑えて声を掛けます。


「…アリエッタ…何持ってるの?」


シンクはこっちに一度視線を向けた後、直ぐ気になる箱へと視線を下ろしました。


「シンクにね、プレゼント。」

「…何の…?」

「……。」


予想外の質問をされた、です。

確かに何の日でも無いけど…


「ごめん、冗談だよ。ありがとう、アリエッタ。」


目的が無かったと察したシンクは、少し慌てて言い直してくれた。


「ううん。」

「開けて良いの?」

「うん。」


綺麗なラッピングをゆっくりと外したシンクは、中身を見て少し驚いているみたいです。


「…ケーキ…これ、アリエッタが…?」

「作った、です。」

「…凄いじゃん。食べて良い?」

「うん。」


シンクがフォークを手にして、ゆっくりとケーキを口に運びます。


「…美味しい…。」


シンクが…本当に小さくだけど…笑ってました…。


「シンク…笑った。」

「…は?笑ってないよ。」

「ううん。アリエッタ、見た!!」

「…っ…少し黙りなよ!!」


口にケーキを入れられて喋れなくなりました。

でもアリエッタは満足、です。





8.仮面の下のその笑顔-end-





back
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -