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いつだって、周りを騙し続けている罪悪感に襲われていて。


偽物の自分に気付いたら、みんな離れてしまうのではないかと思っていて。


それでも、いつも隣にいた少女は、笑い掛けて来てくれた。


安心出来た。


それだけで、嬉しかった。


だから、あの子が苦しむ時は自分が役に立とうと。


あの子が泣いている時は、自分が笑わせてあげようと。


そう、思っていて。



『アニス……』



目の前で涙を瞳一杯に溢れさせる少女。


触れる事の出来ない手を伸ばして



『僕の為に、笑って下さい』



それが届いたのかは分からないけれど。


笑ってくれていたらいいな。





柔らかな風は、そのまま通りすぎ、丘の上へ流れていった。


もう一度瞬きをした時には、少女の前には石だけが残されていて。





少女は、乱暴に自分の瞳を服で拭う。


すくっと立ち上がると、高く高く続く空を見上げて


そして、笑った。


それは、許されたいからではなく。


彼の為に。





少女は、隣に並ぶ石にも花を添える。



「…あんたが居なかったら、イオン様と出逢えなかったの。だから今は、感謝してるよ。」



そうして最後に、反対側の端にある石にも残りの花を添え



「…あんたも…最後まで、空っぽなんて言ってたけど…あたし、泣いたから。この女泣かせ、ばーか。」



少女はくるっと後ろを向き、ダアトを見下ろす。


そしてニッと笑った。



「さて、帰りますか〜」



大きく体を伸ばした少女は元来た道を戻って行く。


そして、いつもの日常へと返って行く。


最後に振り向くと、笑顔を見せて



「イオン様、また明日!」





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