3 自分の裏切りが、その者の命を絶つ事になるだろうとは思っていた。 それでも、家族には代えられなくて。 最初は顔も知らない奴の命なんてどうでも良かった。 少し罪悪感があるくらい。 だけど日が経つにつれ、彼に惹かれて行く自分に気付いた。 素直過ぎて、優しすぎて。 私の行為に気付いた後も、彼は私に向かって笑っていた。 それは、私の為に。 ああ、零れた涙はどれくらいになるだろう。 彼の為に流した涙は… 「イオン様……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…っ…」 『ごめんなさい』は何度目になるだろう。 相手のいない謝罪は…。 許して欲しいの。 また、笑って欲しいの。 隣にいて欲しいの。 それは叶わない願いだけれど。 どれだけ泣いたら どれだけ謝ったら 許してくれますか _ ←→ back |