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それは それは 未来へと






『君と二人 果てない明日を』






そよそよと、頬を撫でる風が心地よい秋の昼下がり。シンクは中庭の木の根本で、何をするわけでもなくただぼーっと微睡んでいた。



秋独特の少しひやりとした冷たい風。夏の熱さが残す陽の光。


それが余りにも心地よくて、ああもうこのまま寝てしまおうかとシンクが瞳を閉じた──時だった。



「シンク」



後ろの方から高くて澄んだ、聞き慣れた声が掛けられる。振り返ってみると、そこには淡く微笑む愛しい人の姿。



「名無し」



名前を呼ぶと、名無しは嬉しそうに笑みを深め隣に腰掛けてきた。



「珍しいね。シンクがこんな時間にこんなところに居るなんて」



「仕事が一段落したからね。それに、珍しいのはお互い様、だろ?」



「私はシンクがここに居たから」



言って、名無しは再びニコリと笑う。



「空…綺麗だねぇ……」



「……そうだね…」



全ての闘いが終わり、汚れることの無くなった空。


そう、あれから二年。世界は元の平和を取り戻しつつあった。



「明日はシェリダンだっけ?」



「うん。アイツもあまり行かせたくないみたいだったけど、仕方ないよ。それが『償い』だから」



平和を取り戻した世界。その世界に生き残った、自分達。
あの闘いが残した傷痕は大きく、人々は皆口々に言うのだ。


『家族を返せ、この化け物め』──と。



特に民のほとんどが惨殺されたシェリダンは反発が強く、以前行った時には殺そうと刃を握る者すらいた。けれど、それも仕方のないこと。



そうされて当たり前のことを、自分達は今まで行ってきたのだから。




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