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ねぇ


私はね


ずっとここにいる


だから絶対


帰ってきてね



『シンク…また任務?最近忙しいね』


名無しはシンクの自室にぽつんといた。


紅茶を片手に


「僕は君と違って実験じゃないの、その地に出向くの」


名無しは主に実験をする博士だ。


かのジェイド博士に引けを捕らずに。


「あははは、私はジェイド博士と何処かの博士とかを混ぜて偶然できた“レプリカ”だからね」


フフフフ、とフラスコを揺らしながら妖しく笑う名無し。


「はぁ、ヒトの部屋を実験室と勘違いしないでよね、この前のフラスコをディストにぶっかけたら服だけ溶けたんだから


シンクは書類をトンッとまとめると机の端に押しやった。


『へぇ、あのフラスコくんはそんな役目を…これはメモだね!』

どこからか取り出したメモとペンですごい速さで書き出した。


「始まった;;」

シンクは盛大にため息をついた。











『シンク…君はさ、導師イオンのレプリカなんだね』


唐突にいわれた言葉。



「…な、んで」



カランッと音を立てて仮面が床に落ちた。



『…ヴァンからいわれた。あと、私が造られた本当の意味。』


名無しはペンを置いた。


「本当の意味ー…?」


シンクは目を見開いた。


本当の意味?そんなの僕は知らない。


聞いていない。









『私は…偶然なんかじゃない。何回も何回も造られて使えなくなったら壊されてきたらしい。ちなみに私で25体めだ』



名無しの声がやけに響いた。


「うそだ、ろ?僕は名無しの顔を一度しか見てない。」


『ほら、私の前にいた研究者が前のレプリカらしいよ。名前なんて忘れたけど』


「顔をわざわざ作り替えてるってこと?!」


シンクはそんな馬鹿な、という目をした。


『違う、自分ではじめにするのが“自分の顔をつくること”なんだよ。私は勝手に造られたけど』


だからみんな顔違うんだよ…ね。


そういった名無しはひどく悲しそうだった。



「…別に今更気にしないね。僕が知ってる名無しは名無しだけだし」


仮面を拾おうとしたが名無しに阻止された。


『やっぱり、シンクそれは君にも当てはまるよ。私もシンクはシンクしか知らないし。イオンがどういうヒトかも知らないしね。』


にっこり、と笑った。


「まさか」


それをいいたいだけに…


『さぁね』


クスッと笑った名無しだった。


「…はぁ、僕はいつでも名無しには勝てないわけだ」


シンクは苦笑した。


『当たり前でしょ、だって天才博士だしね☆』









嘘、本当はシンクのことが好きだから

(僕もだよ、きみのことは誰よりも知ってる)










-end-
時の欠片
胡夜様





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