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朝起きた瞬間、体中がぎしぎしとまるで軋むかのような痛みに、思わず顔をしかめた。

それがおきぬけの行為とは誠に不服だが、先日学校の授業でマット運動などと使わない筋肉を無理やり縮ませ伸ばして片過ぎる自分の骨格を限界まで曲げ伸ばししたのだから、筋肉痛になるには間違いない。


とりあえず、起床の時間はすぎている。今日は学校もお休み、だからといって朝食を食べないまま過ごすなんて到底考えられず、時間通りに食べないと悲鳴を上げてしまうであろうお腹のことを考え、仰向けの状態から一度ごろりと寝返りを打って隣で眠るルークの様子を見ようとした。


視界の先に燃えるような焔色の前髪がサラリと流れる見目整った安らかでいて子供らしさを滲ませた様子で彼が眠っていたので、少しばかり心臓が飛び出るかと思ったが、周期的に起こるその現象には慣れたもの、すぐに脳は理解してくれたのだった。



しかし、あまりにも体が重い様に感じるので何なのだろうと思い手を上げてみる。というよりは、力を入れてみる。
ゆるゆると持ち上がる自分の両腕、どういうわけかパジャマの袖が酷くダボダボとしていて、余った袖の部分が指先で重力に従い床先へとブラブラと延びている。不思議なことに袖があまりにも余りすぎている。

他にも、気づけばどういうわけかパジャマの肩口は落ちているし、ズボンにおいては脱げてしまっていて、ほんの少し足先がズボンの股下に入り込んでいる程度。一体、自分はどれほど酷い寝相だったのだ、などという言葉で済ませられたらよかったのだが、いかんせん、あまりにも不思議なその状況に、思わず手を顔に当てた。


…………のだが視界を覆う手のひらは、あまりに小さかった。






「………あ、れ?」






思わずこぼれた疑問の声すらも、どこと無く高く、思わず起き上がって周りを見てみればなぜだか視点が低いように感じられる。

もう一度手のひらをまじまじと見つめてみるのだが、やはり小さく、そして肩からずれ落ちたパジャマを手で引き上げた瞬間、いつもならあるはずの胸部のふくらみが無いことに気づき、それでいて自分の体型の異様さに改めて気づいたのだ。





「……………あ、あれ?あれ、あれれ?」





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