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「…やっぱり、シェリダンには私も着いて行くよ。シンク一人じゃ、またこの間みたいに……」



「大丈夫だよ。刺されることはないから」



「でも……」



「ボクは何を言われても平気だし、言われて仕方ないと思ってる。誰だって世界を滅亡させようとした奴が生きていれば殺したくもなるよ。ボクが預言を恨んでいたように」



「シンク……」



仕方のないこと。どんなに責められても、どんなに罵られても構わない。それで少しでも、償うことが出来るのなら。




名無しは瞳を伏せ、そっと息を零す。彼女がこうする時は、大抵何かを堪えている時。



「名無し?」



「……し…よ…」



「え?」



「悔しいよ…っ!シンクが悪く言われるの、私は嫌だ……っ!」



「名無し……」



ポタリと、雫が地へ落ちる。



「だってシンク…ほんとは優しいのに…っ、もう充分すぎるくらい償ったのに…なのに……っ!」



ただじっと罵声を浴びて、言い返すこともせず頭を下げて。


彼は身勝手な人々のせいで辛い思いをしてきたのに、それなのに自分達のことは棚に上げて。なんと都合のいいことだろう。



「悔しい…っ悔しいよ……っ!」



「名無し…」



ふわりと、腕を引かれると同時にシンクに抱き締められる。見上げればそこには優しい笑み。



「……駄目だね、ボクは。名無しまで泣かせちゃってさぁ…」



「っ、違っ……!」



「でも…ありがとう。名無しがそう言ってくれるだけでボクは充分だよ」



「ね?」と優しく諭すように言われて、わしゃわしゃと頭を撫でられる。




ああ、彼は本当に変わった。以前はあんなにも寂しそうで、あんなにも思い詰めていたのに。



今はこんなにも優しくて、こんなにも暖かい。




「名無し…ありがとう……」



その「ありがとう」に込められた思いを、彼女は果たしてどこまで理解しているだろうか?



「シンク…大好き……」



「うん…ボクも……」






静かな午後の、秋の昼下がり。


風が吹き抜ける中庭で二人はただ、抱き合う。







償い切れない罪を償うのに どれ程の時間が掛かるのかは、わからないけど








その時間の中で 君を愛して 笑い合って








二人ずっと 寄り添い合いながら








果てしない明日を 生きていく。










fin
sweet pain
夜空様





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