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「わぁー、ちっちゃい子から見たら、デパートってこんな感じなんだ。」

「オレさ、いっつもちっちゃいから、デカイ体でこういう人ごみの多いところ歩くのなんて久しぶりだなぁ。」

「そっか、そういえばルークは本当はこの体型なんだもんね。」

「おぅ。」



人ごみの多い通路は本当に見渡す限り人ばかりで、廻りで歩く子供は皆えっちらおっちらぶつかってぶつかられて危なげな足取りを見せていた為か、ルークはわたしを背負うといって聞かなかった為、今お言葉に甘えてルークの肩に座っている。

高い視界から見る風景は結構面白いもので、普段は目に出来ないようなものも見て取ることが出来た。





「あっ、あそこの人カツラ!」

「……カツラ?」

「うん、だってさっき人とぶつかった瞬間髪の毛ずれたもん。しかも手で丁寧に元の位置に戻してたし。」

「えー、オレも見たいなぁ。」

「あはは、結構くだらないけどね。」

「まぁな。」




そう他愛もないことを話しつつ、やはり見目が整っている上に珍しい焔色の髪の毛が人の目を引くのだろう、先程から視線をビシビシと感じている為、鈍感なルークでさえも少し居心地悪そうにしているところがある。


なんだか、そう云うところではもう少し気を使って上げられたり、考えてあげればよかったなぁなんて思って、ルークの頭にしがみつく。それに気づいたルークは、苦笑を小さくもらす。

それはなんだか、気にするなといっているみたいで、小さく肩の力が抜けた気がした。





「ねぇねぇ、ルークは何食べたい?今日少しお金多めに持ってきたから大丈夫だよ?」

「ん〜……、なんかなぁ。外食って、あんまり。」

「?なんで?」

「だって、名無しのご飯の方がいい。よくわかんないけどさ。」





唐突にそう言って笑うルーク、すこしだけ照れたけれど、わたしはルークに小さく礼の言葉を述べる。

普通の料理なのに、そう言ってもらえるだなんてわたし幸せだなぁなんて思う。それとも、ルークの味覚が超庶民的なだけなのか、それでもわたしは嬉しかった。




結局それからご飯は食べないで、ドーナツだとかケーキだとかでお腹をごまかして、デパートでは特に何もしないで帰ってきてしまった。





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