3 というわけで、小さくなってしまったわたしはルークの服(といっても、ルークが縮んでいる時のものなのだが)に袖を通し、少々男の子っぽさが残っているけれれども、そんなことは気にしない。 昨日、作り置きしておいたカレーを朝っぱらから胃袋に詰め込み、酷使されている胃袋が重いような感覚を無視してとりあえず食することに専念していた。 ルークはといえば、相変わらず不思議そうなまなざしでわたしを見つめ続け、わたしはというと、普段よりも小さく、拙い手でスプーンを握り、いつもよりも半分以下の量のご飯をいつもより小さな口に詰め込む。 なんだろう、自分の体だというのに、酷く不思議な感覚だった。 「なあなあ、どうしていきなり縮んだんだろうなぁ。」 「さぁ?わたしも特に昨日、何かしたってことはないんだけどなぁ。」 「………ほんとうに?」 「………う、疑われても、思いあたることなんてこれっぽっちも無いんだもん。」 そう言いながら、少しむくれたような声で最後の一口を強引に口に詰め込むと、大きいように感じるマグカップから麦茶を口に注いで後を引くカレーのスパイシーな味を流した。 イスから降りるのも一苦労で、いちいち手をついて降りなくてはならないし、流し台には手が届かない。今日は家事の一切は出来ないだろうなぁ、なんて思いながら、ルークに食器を持ってもらった。 「まあ、私が小さくなったことは別にいいとして。」 「うん?」 「問題はさ、ご飯なんだよね。もう冷蔵庫には何にも無いし、ルークは料理できないし、わたしも然り。」 「………ご飯、たべないのか?」 「……………それは、きついかな。」 そう思い、ため息をつく。 体が普通の大きさだったならば、別に買い物に行けばわたしがそのまま料理もつくってしまうから大丈夫なのだけれど、今のこの体じゃ包丁を握るどころか水道の蛇口すらまともにひねることの出来ない状態、こんなので料理をしろだなんてもってのほか。 …………仕方が無い、今日は外食だ。 それならば、1日家にいるだけというのもどうかと思うし、ご飯を食べる為に2回以上家を空けるというのも面倒。なら、今日一日はレストラン街のあるデパートで過ごそうか。 そう思い、ルークに出かける支度をするように言うと、ルークと連れ立ってわたしは近くのデパートへと向かうことにしたのだった。 _ ←→ back |