2 「へぇ。そうなんだ…。」 とりあえず、腹の虫が鳴り響いたらしい彼の為に軽め食事を用意して、一緒に机を囲んで食事を始め、とりあえず彼のことをたずねてみた。 「あぁ。イオンもシンク死んだはずなのに、いつの間にかひょっこり生きて出てきたし、行方不明になってたはずのフローリアンも帰ってきてさ。…なんでかとおもったら、名無しのところにいたんだな?」 「えと、うん。」 口にパンを詰め込みながら喋る彼は、ルークという名の少年。 どうやら、イオンやシンクの事を知っているらしい人物。実際の年齢は20歳…じゃなくて、10歳だそうだ。 それにして、も。 イオンと、シンクと、フローリアン。 彼らは突然わたしの前に現れて、そして、消えていった。 大切な、彼ら。 どうやらきちんと生きているらしいうえに、あちら側できちんと生活もできているようで、私はルークの言葉に内心ほっと安堵のため息をつきながら焼けたトーストをほおばった。 「あいつら、ずっと上の空でさ。ときどき知らない人の名前呟いてたんだけどさ…それって、名無しのことだったんだな?」 「え?呟いてた?」 「ああ、すっごく寂しそうに呟いてたからさ…あいつらも、きっと名無しに逢いたいんだよ。」 その言葉で少しだけ幸せになった私の心、なんだか泣きそうだったけれど、不思議そうな顔をするルークの前では、泣けなかった。 そうして、帰ることが出来ないルークと一緒に生活を始めるのは、今からのお話で。 のちのち、彼女自身がオールドラントへとトリップしてしまうというのは、また別のお話。 -end- Down 海里様 ← back |