静臨+甘楽
甘楽は臨也の双子の姉設定。




ある平日の池袋の一角。
バーテン服にサングラスをかけた金髪の青年と、ファー付きのコートを羽織り短いスカートをはいた黒髪の女がいた。


「なにしにきたんだよ、おまえ」

「え、なにって、シズちゃんに会いにきたんだよ。」

「…なんでだよ」

「暇つぶし?」


あはっと笑い、黒髪の女、甘楽は静雄が壁に寄り掛かっている隣に寄り掛かった。
静雄は相変わらず煙草を吸いながらただぼーっと一点を見つめていた。


「…臨也のヤローは連れてきてねーだろうな?」

「連れてきてないよ。てかむしろ連れてきた方がよかった?」


からかうように静雄を見ていう甘楽。
静雄は少し苛つきながらも、それを否定した。


「だよねー。ていうかあの頃もしょっちゅう喧嘩してたよね、二人とも。」

「それはあいつが…」

「理屈を捏ねるから?」

「わかってんなら聞くな。」


そういい、煙を吐き出す静雄。
それを見つめながら、また甘楽は口を開いた。


「懐かしいなぁ、あの頃も楽しかったよね。」

「俺は楽しくなかったけどな」

「うっそだー。なんだかんだいって楽しかったでしょー?」


そうからかうようにいう甘楽に、静雄は少し考えたあと頷いた。




そう、あの頃はまだ、私たちは子供だったから…―――。
あっという間に高校時代は過ぎていったんだ。

あの頃、来神学園に通っていた私たちはいつもほとんど5人でいた。
私と臨也、静雄に新羅、そしてドタチン。
私は女子と一緒にいることはあったけど、人間関係がめんどくさくてほとんどあの4人と行動していた。

シズちゃんと臨也の喧嘩はいつも発生していて、私は新羅とドタチンと共に眺めていた。
まぁ、ドタチンは頭を抱えていたけれど。
結構、充実していたと思う。
授業は真面目、とまでは言えないけれど、ちゃんと受けていたし。
勉強をあまりしなくてもテストの点数はそこそこ取れていたのでその点はよかったと思う。

卒業したあと私はアパレルショップの店員として就職して。
みんなはそれぞれの職業に就いた。
いまでも私は変わらず仕事をしているけれど、シズちゃんは臨也との件があったあとどんな感じか気になって来てみたのだ。
そしたら順調に仕事をしているようで。
まぁ、今回来た理由はそれだけではないのだけれど。

実は確かめたいことがあってきたのだ。


「シズちゃん、単刀直入にいうけどさ、臨也と付き合ってるの?」

「―っげほっ…!!」

「だいじょぶ?」


おもしろすぎるくらいの反応をするシズちゃんに、うれしくなりながら噎せたシズちゃんに声をかける。
少し咳込んだあと、おさまったらしいシズちゃんは私を睨んだ。


「そんな睨まないでよぉー。で?どうなの?」

「…なんで臨也に聞かず俺に聞くんだよ。」

「だって反応おもしろいし。というより、臨也は話してくれなさそうだと思って。」


そういうと、シズちゃんは少し考えるような表情をした。
なんだか読めない表情をしながらシズちゃんは口を開く。


「…もしそうだとしたらどうすんだよ。」

「うーんと、一生そのネタでからかって…ってそんなことはしないから安心して。実の弟があれでした、っていうの嫌だし。ただ確認したいだけだから。」

「……、一応、そういう関係だと思う。」

「そっか。」


シズちゃんの言葉に頷く。
それにしてもいつのまにかそんな仲になったの?

ていうか、シズちゃんもなんで女の私じゃなくて双子の弟の男である臨也を選んだんだろう…。
ま、あの二人はよく一緒にいたからわからなくもないけど、ね。
いくら喧嘩してたからって、臨也は嫌いといいながらもシズちゃんのこと好きだってことは双子だからなんとなくわかってたし。
シズちゃんもシズちゃんで臨也のこと結構見てたからなぁー…。

…ほんと、不思議だよね、人の気持ちって。
わかっていながらも、私も好きになっていたのかもしれない。
シズちゃんのことを。

あーあ、ほんと、嫌になる。
男に負けるなんて。
それも、双子の弟に。
でも、辛くも苦しくもない。
たぶん、シズちゃんのことは好き"だった"んだ。
だから、悲しくもないし、泣きたいとも思わない。
負けたことは悔しいけど。
だから、少しはいい想いしないな、なんて。


「ね、シズちゃん。」

「なんだよ?」

「んー、実はさ、私シズちゃんのこと好きだったよ。」

「は…っ?」


にっこりと微笑んで。
吃驚しているシズちゃんの頬にキスをした。


「…あははっ、シズちゃん顔真っ赤ー」

「て、め…っ、甘楽、何して…!!」

「何って、いたずら?ま、弟によろしく。たぶん怒ってるだろうからさ。じゃあまたね、シズちゃん。」


陰から見ていた臨也を見たあと、シズちゃんに手を振ってその場を去る。
あの二人の、痴話喧嘩に巻き込まれないうちに。
まぁ、その原因は他でもない私なのだけれど。




折原家長女の暇つぶし

(未練なんてないけど、)
(いたずらくらいはしなきゃでしょ?)



−−−−−−−−−−−−
実は静←甘っていうね!
甘楽が甘楽じゃなくなった気がする…こともないけど…←
書くの楽しかった!(^O^)/
甘楽はお姉ちゃんだと思うんだ。

100903
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