0.8寸止め(狩影)
今日のグランドは真っ白な化粧が施されていた
いや、グランドだけではなく町全体が一面の銀世界となっている
そのため今日の部活はサッカー棟でやるとキャプテンから連絡が回ってきたになった
「うぅ〜寒い…」
「そんな風に寒い寒いって言うから余計に寒く感じるだろ」
「あはは…ごめん」
「それより早く着替えないと…
日直で遅れてるんだから」
「あ、うん」
シャツを脱ぐと冷たい冷気が素肌を撫で身震いしてしまい
冷たいユニフォームに袖を通すのも億劫になる
しかし、着替えないわけにもいかないのでスポーツバッグからユニフォームを取り出した
静かな部室には布の擦れる音だけが響き沈黙が続く
居心地が悪かったので話をふろうと輝の方をチラリと見ると輝の白い肌が目に入りに少なからず興奮してしまった
「ねぇ、輝…」
「んー?なに狩屋くん?」
俺の呼びかけに仔犬のような愛くるしい笑顔で答えるものだから思わず抱き締めたくなるのを我慢して輝との距離をぐっ、と縮めた
「か、狩屋くん!?」
「輝…」
輝は驚いたのか後退りをしたので輝の腕を掴み逃げられないようにした
あと少しでキスが出来そうなそんな距離まで詰められていった
すると部室の扉の開く音がしたので慌てて離れそちらを見ると天馬くんがいた
「あれ?
二人ともまだ着替えてないの?」
早くしないとキャプテンに怒られちゃうよっと笑い自分のロッカーを開けて何かを探していたので忘れ物でも取りに来たのだろう
「いやぁ、寒くてさぁ
ユニフォーム着るの躊躇っちゃって」
「あはは狩屋らしい
今日の部活は室内だからすぐに身体、熱くなっちゃうさ」
「だね-
急いで行くよ」
じゃあ、また後でと部室を出ていく天馬くんを見送り着替えを再開させようとしたが
輝がうつむいているのに気付き、どうした?と声をかけると耳まで真っ赤にしてこちらを見てきた
「ぁ…えと…そ、の…」
「あぁ、もしかして」
寸止め食らって不満―?
悪戯っぽく輝の耳元で囁けば更に真っ赤になって余計に虐めたくなる
「でも早く着替えて行こう
天馬くんは冗談っぽく言ってたけどこれ以上、遅くなったら本当にキャプテンに怒られそうだし」
「ぅ、うん…」
しゅん、と「捨てられた仔犬」状態の輝をみて部活が終わったら可愛がろうと決めて輝が着替え終わるのを待った―