03.指先(蘭拓)

「いたっ」

「神童?」

現在、昼休みも後半になり午後の授業の予習を二人でしていると
神童から悲痛な言葉が聞こえた

「教科書で切った…」

「だ、大丈夫か?」

「あぁ・・・
確か絆創膏が…」

鞄の中を探り出す神童に俺は声をかけた

「神童」

「なんだ、きり…って!」

ちゅぅ―

神童の人差し指からみえる赤い液体を吸い、嘗めた

「よし、止血完了」

「お、おまえなぁ…」

顔を真っ赤にしてふるふると震え教室内を見渡す神童は
今にも泣きそうな顔になってて可愛いと思ってしまった

「悪い、つい」

「ついじゃないだろう…
教室だぞ…」

「誰も見てないって
それに、神童の指が綺麗だったから」

「き、綺麗じゃないっ」

いや、綺麗だよ
フィールドで振るわれる指先にいつも魅了される
その指先に触れて握り締めたいと―
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