02.3センチ(マサ→蘭)

部活も終わりさっさと帰ろうと更衣室を出たら出口の方から霧野先輩が戻って来た


「あれ?先輩どうしたんですか、先に帰ってたのに…」

「忘れ物した」

端的に答え霧野先輩は更衣室に入っていった

「忘れ物…ね」


********************


「あれ…可笑しいな……」

「どうした霧野?」

「あ…神堂、
いや忘れ物をしたと思って戻って来たんだがなくて…」

「鞄の中じゃないのか?」

「それはさっき探したんだが見当たらなくて……」

「そうか…
何がないんだ?」

「あ、あぁ…
実は―」



それから20分ほど探したが見付からず今日は諦め帰ることにした。

「悪かったな、神堂
探すの付き合ってもらって」

「なに言ってるんだ、きにするな」

「あぁ…ありがとう」

みつかると良いなと神堂が声をかけたところで校門の前で先ほど見かけた人物がこちらを見ていた

「…狩屋?」

「え?」

「あ、霧野先輩
ちょっと話があるんですけどいいですか?
出来れば二人で…」

チラッとキャプテンの方に視線を流せば、あぁと溢した

「じゃあ、霧野、狩屋また明日な」

「あ…あぁ
また明日…」

「お疲れ様です。キャプテン」キャプテンが学校を出たのを確認して凄く不機嫌な顔をした霧野先輩に視線を戻した

「で、話ってなんだ?」

「これ…先輩のですよね?」

「!」

狩屋の手元にゆらゆら揺れるソレはまさしく俺が忘れたと思って探していた物だった

「お前ッ
まさか…!」

「誤解しないでもらえす?
サッカー棟から出てからこれみつけたんですけど…ってその目は信じてないみたいですね」

「……当たり前だ」

「俺のこと信じるって言ってたくせに
そう言うこと言わないでもらえません?
地味に傷付くんで…」

違う、本当は部活前に先輩がソレをあまりにも大事に仕舞うのを見て
むしゃくしゃして取り出したのだ……


「わ…悪い
見付けてくれてありがとな」

すっと手を伸ばし狩屋の持つソレを取ろうとしたが狩屋は頭上高くに持ち上げてしまった

「か、りや…?」

「ただで渡すわけないでしょ?」

「おま…」

狩屋は俺が言葉を発しきる前に距離をぐっと詰め言葉を重ねた

「キス、してもいいなら渡しますよ?」

「ッ!!?」

あと少しでキスが出来る距離で狩屋が動きを止めた
たぶん俺が怯えた顔をしたから…

「…なんて、じょーだんですよ
すみませんこれ大事な物なんですね…」

「あぁ…
神童がくれた物だから…」

「そう…ですか
じゃあ、本当にすみませんでした」早くこの場から逃げ出したくて、先輩にソレを…
光輝く小さなクロスのネックレスを渡し学校を出た。





「くそ…ムカつく…」

後、3センチ…
貴方に近付く勇気と
貴方が大切にする物を壊す勇気が欲しかった―

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